リップロールのやり方と効果|できない人向けのコツ
唇を震わせるリップロールの基本のやり方、脱力・息の安定・音域練習に役立つ効果、そして「できない」ときの原因別のコツを、独学の方向けにやさしく解説します。お手本音源で「続くリップロール」も聴けます。

リップロールは、唇を軽く閉じてブルブルッと震わせながら声を出す、歌う前のウォームアップ(準備運動)です。喉に力を入れずに音の高さを行き来できるので、脱力・息の安定・音域を広げる練習に向いています。この記事では、基本のやり方の手順と、「どうしても震えない」という人向けのコツを、独学の方にもわかるようにまとめます。
リップロールとは?唇を震わせるボイトレの基本
リップロールは、閉じた唇のあいだから息を通し、唇を「プルルル」と連続で震わせながら発声する練習です。子どもがマネするバイクの「ブルブルブル」という音、と言えばイメージしやすいかもしれません。
歌の前の準備運動として長く親しまれてきた定番で、特別な道具も広い場所もいりません。声を張り上げなくても唇が震えてくれるので、朝いちばんの声出しや、カラオケに入る前の数分でも取り入れやすいのが魅力です。
初心者に向いているのは、大きな声を出す必要がなく、ひとりでこっそり練習できるからです。人前で歌うのが恥ずかしい方でも、部屋で口元をブルブルさせるだけなら気軽に始められます。
まずは「きれいな発声」を目指すのではなく、「唇がラクに震え続ける状態」をつくることをゴールにしてください。ここが安定すると、あとの練習がぐっとやりやすくなります。
リップロールの効果|脱力・息の安定・喉に負担なく音域練習
リップロールの効果は大きく3つ、「余分な力を抜く(脱力)」「息を一定に流す」「喉に負担をかけずに高い音・低い音を行き来する」ことです。
唇を震わせ続けるには、息をムラなく一定に送り出す必要があります。息が強すぎても弱すぎても唇は止まってしまうため、自然と「ちょうどいい息の量」を体が覚えていきます。この安定した息づかいが、歌ったときの声の安定につながります。
また、唇が振動でブレーキの役割をしてくれるので、喉だけで音程を上げようと力むクセが出にくくなります。喉まわりの力みが減ると、高い音に届きやすくなったり、地声から裏声への切り替わりがなめらかになったりする土台ができます。声を出しっぱなしにするより負担が軽いので、音の高さを上げ下げして音域を広げる練習にも向いています。
リップロールのやり方|今日からできる手順とNG例
やり方はシンプルで、「軽く唇を閉じる→一定の息で震わせる→その状態のまま声を乗せる」の3ステップです。次の手順で、今日から数分ずつ始められます。
- 軽く口を閉じ、頬と唇の力を抜きます。上下の歯は軽く離しておきます。
- 「プー」と息を吐き、唇をブルブルと震わせます。まずは声を出さず、息だけで10秒ほど続けてみましょう。
- 息が安定して続くようになったら、「ウー」と軽く声を乗せます。
- 慣れてきたら、低い音から高い音へ、坂道をのぼるように少しずつ音程を上げ下げします。
1回20〜30秒を目安に、3〜5回ほど。トータルで2〜3分あれば十分です。長時間まとめてやるより、毎日少しずつのほうが体になじみます。声を出す前の準備運動なので、歌う直前や練習のいちばん最初に入れると効果的です。
やりがちなNG例
- 息を強く吹きすぎる → 唇が痛くなり、すぐ止まります。息は「細く長く」を意識します。
- 高い音で肩や首に力が入る → 音程は無理に上げず、震えが止まらない範囲にとどめます。
- 唇をギュッと固く閉じる → 力が入るほど震えにくくなります。あくまで「軽く」触れる程度に。
喉に痛みや違和感が出たときは、すぐに中断してください。声のかすれや不調が続く場合は無理をせず、耳鼻咽喉科など専門医に相談しましょう。
リップロールができない原因と対処法
リップロールができない原因のほとんどは、「唇や頬に力が入りすぎている」「息が足りない・不安定」のどちらかです。できないのはセンスの問題ではなく、たいていはちょっとしたコツでほどけます。原因別に対処すれば、多くの場合は震えやすくなります。
唇・頬が力んでいるときは、指を使って助けます。両手の人差し指を口角(唇の両端)にそえ、頬を軽く上に持ち上げるように支えてみてください。唇の重さと力みが減って、震えやすくなります。まずは指ありで感覚をつかみ、慣れたら指を外していきます。
息が足りない・続かないときは、一気に強く吐くのではなく、お腹から細く長く息を送るイメージにします。ため息のように「はぁー」と力を抜いて吐くと、ちょうどよい息の流れが見つかりやすくなります。
そもそも唇が震えないときは、まず唇の乾燥を疑います。乾いていると滑りが悪く震えにくいので、軽く湿らせてから試してください。出っ歯やかみ合わせなど口元の形は人それぞれで、どうしても唇だけでは震えにくい人もいます。その場合は、舌を巻いて「トゥルルル」と鳴らす巻き舌(タングトリル)で代用しても、脱力や息づかいの練習としては近い手ごたえが得られます。うまくできない自分を責める必要はありません。合うやり方から始めれば大丈夫です。
動画でも確認してみましょう
文字だけだと分かりにくいリップロールのやり方は、実際の映像を見ると感覚をつかみやすくなります。(下は参考になる解説動画です)
お手本を聴いてみましょう
実際の音を耳で知っておくと、自分の練習が近づいているか判断しやすくなります。下のお手本は、ピアノに合わせてスケールをひと回しした音源です。
震えが最後まで途切れず、音が高くなっても息がなめらかに流れ続けている点に注目してみてください。最初は同じようにいかなくても大丈夫です。息が安定してくると、少しずつこの「続くリップロール」に近づいていきます。
続け方|録音して自分の声を客観的にチェック
続けるコツは、「短く毎日」と「録音して聴き返す」ことです。自分の声は、歌っている本人には骨や頭のなかを通ってこもって聞こえるため、実際とは違って聞こえます。だからこそ、外から客観的に確かめる手段が欠かせません。
スマホのボイスメモで十分です。リップロールを録音して聴き返すと、「息が最後まで続いているか」「途中で震えが止まっていないか」「力んで音が詰まっていないか」が、意外なほどよくわかります。録音を続けると、うまくいった日といかない日の差にも気づけるようになり、調子を整える手がかりになります。うまくいった日の音を残しておくと、自分の中の「お手本」にもなります。
さらに一歩進めるなら、自分の声のどこにクセがあるのかを見極めると、練習の狙いが定まります。高い音で喉を締めがちなのか、声が裏返りやすいのか、息が漏れて芯が出ないのか——タイプによって重点を置く練習は変わります。声を診断して症状別に練習を組めるアプリ「ボイとれ!」のような仕組みを使うと、リップロールで整えた土台を、次の一歩へつなげやすくなります。
まずは今日、2〜3分から。唇がラクに震え続ける感覚を、少しずつ体に覚えさせていきましょう。



