「涙そうそう」(夏川りみ)の音域|高音より「伸ばす音」が難所・女性は−2〜−3、男性はBEGIN版のキーが目安
夏川りみ「涙そうそう」の音域は地声C4(mid2C)〜D5(hiD)で、幅は1オクターブ+1音と狭め。難しさは高音そのものよりロングトーンの持久にあります。平均的な女性は−2〜−3が目安で、最低音が高いぶん下げしろが大きいのがこの曲の特徴。BEGIN版(イ長調・男性向け)とのキーの違い、男性が歌うときのキー、音域が似てる曲まで解説します。

夏川りみさんの「涙そうそう」の音域は、地声の最低音がC4(mid2C)、最高音がD5(hiD)です。
幅は1オクターブと1音しかなく、カラオケ定番曲の中でもかなり狭い部類に入ります。原曲キーで歌えるのは、サビのhiDを張り上げずに出し、伸ばす音を最後まで保てる高めの声の人。平均的な女性は−2〜−3が目安で、男性はBEGIN版のキー(夏川りみ版の+4相当を1オクターブ下で歌う)が現実的です。
森山良子さんが作詞、BEGINが作曲したこの曲は、1998年の森山良子さん版、2000年のBEGIN版を経て、2001年の夏川りみさん版が大ヒットしました。
この記事では、広く知られている夏川りみさん版のキーを基準に、音域データとキー調整の目安、BEGIN版とのキーの違いまで具体的に見ていきます。
涙そうそう(夏川りみ版)の音域データ
| 項目 | 音 |
|---|---|
| 地声最低音 | C4(mid2C=ピアノの真ん中のド) |
| 地声最高音 | D5(hiD=真ん中のドの1オクターブ上のレ) |
| 裏声最高音 | ―(裏声を多用しない曲で、音域データサイトにも裏声の記載なし) |
| 音域の幅 | 1オクターブ+1音 |
| テンポ | ゆったりしたスローテンポ(バラード) |
最低音・最高音は、音域.com と voice-key.news の掲載値で一致しています(出典によって半音ほど違うことがあります)。テンポはBPM70台のゆったりしたバラードです。
出現バランスを見ると、最低音のC4はAメロに、最高音のhiDはサビに出てきます。
注目したいのは最低音がC4(mid2C)と非常に高いこと。多くの曲がmid1〜mid2前半まで下がるのに対し、この曲は真ん中のドより下に一度も潜りません。曲全体が真ん中のドより上で進むので、女性の声の高さに合わせたキーと言えます。
歌いやすいのは音域の狭さ、難しいのはロングトーンの持久
難しい要素
- ロングトーンの持久戦になる:ゆったりしたテンポで音を長く伸ばす場面が多く、息の支えが途中で切れると語尾が揺れたり音程がぶら下がったりします。高い音を「出す」ことより「保つ」ことが問われる曲です。
- 粗がそのまま聞こえる:早口のフレーズや激しい跳躍がないぶん、音程のわずかなズレや声の震えを隠す場所がありません。シンプルな曲ほど誤魔化しが利かない、の典型です。
- サビのhiDは平均よりやや上:一般的な女性の地声上限はhiA〜hiC付近に収まることが多く、hiDはそこから1音〜2音半上です。届いても、張り上げた瞬間にこの曲の澄んだ雰囲気が壊れます。
歌いやすい要素
- 音域の幅が1オクターブ+1音と狭い:低音と高音を行き来する負担が小さい曲です。
- テンポが遅く、音の動きが穏やか:息継ぎの余白が十分にあり、勢い任せで高音に突っ込む場面がありません。
- 最低音が高く、キーの下げしろが大きい:最低音C4のおかげで、キーを大きく下げても低音がスカスカになりにくい、珍しい曲です。
原曲キーの分かれ目は、サビの高音を「保てる」かどうか
判断基準は1つに絞れます。「サビのhiD(D5)を張り上げずに出し、伸ばす音を最後まで保てるか」です。
hiDに一瞬タッチできるだけでは足りません。この曲のサビは音を長く保つ場面が多いため、「出る」と「保てる」の差がはっきり出ます。カラオケで高音の語尾が震えたり尻すぼみになったりするなら、原曲キーは現状の声に対して背伸びをしている状態です。
自分の最高音がどこまでか、感覚ではなく実測で把握しておくと、この判断は一気に簡単になります。→ 音域の調べ方・測り方|自分の音域を5分でチェックする手順
キーを下げても低音は崩れにくく、男性は+4が定石
女性の場合
| キー設定 | 最低音 | 地声最高音 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 原曲(±0) | C4 | D5 | サビのhiDを張り上げずに歌える高音側の人 |
| −1 | B3 | C#5 | hiDだけわずかに届かない人 |
| −2 | A#3 | C5 | 平均的な女性の第一候補。最高音がhiCに収まる |
| −3 | A3 | B4 | 高音に自信がない人。最低音A3もまだ無理のない高さ |
| −4〜−5 | G#3〜G3 | A#4〜A4 | 声が低めの人。低音がスカスカになりにくいのがこの曲の強み |
多くの曲では下げすぎると最低音が沈んでボソボソになりますが、この曲は最低音がC4と高いため、−4〜−5まで下げても低音側が破綻しにくいのが特徴です。ただし、キーを下げても「ロングトーンを支えきる」という本質的な難しさは残ります。高音がラクになったのに上手く聞こえないなら、原因はキーではなく息の支えの方です。
−2と−3、あるいはもっと下げるかで迷うときは、カラオケでキーを下げるのはダサい?下げるべき判断基準にある下げ幅の考え方も参考になります。
男性の場合
夏川りみ版のキーのまま1オクターブ下で歌うと、最高音がD4(mid2D)とかなり低くなり、サビの盛り上がりが物足りなくなりがちです。そこで定石になるのが、+4に上げて1オクターブ下で歌う方法。これはちょうどBEGIN版と同じキーにあたり、音域はE3(mid1E)〜F#4(mid2F#)になります。最高音は平均的な男性の地声の上限(G4〜A4)より低く、最低音も無理のない高さです。
BEGIN版・森山良子版とのキーの違い
「涙そうそう」は歌い手によってキーが大きく違います。
- 夏川りみ版:ヘ長調(Fメジャー)。C4〜D5の高めの音域で、女性向けのキーです。
- BEGIN版:イ長調(Aメジャー)で、夏川りみ版より4つ高いキーを男性の高さで歌います。夏川りみ版のメロディをそのまま移すと、音域はE3(mid1E)〜F#4(mid2F#)にあたり、男性の地声に収まる高さです。
- 森山良子版:1998年発表のいちばん最初のバージョンです。今回参照した音域データサイトには収載がなく、数値の確認が取れないため、この記事ではキーの目安として扱いません。
カラオケで「原曲キー」と表示されていても、どの歌手のバージョンを選んだかでキーは別物です。男性がBEGIN版の音源で歌うなら原曲キーのままで問題なく、夏川りみ版の音源しかない機種では+4が近い聞こえ方になります。
音域が似てる曲は、hiD前後のスローバラードから探す
「涙そうそうが歌えたから、次はどの曲か」を考えるときは、地声最高音がhiD前後のスローバラードを探すのが手がかりになります。当サイトの記事や一覧に音域を載せている曲から、hiDに近い5曲を並べます。
| 曲名 | アーティスト | 音域の目安 | 涙そうそうとの比較 |
|---|---|---|---|
| ありがとう | いきものがかり | G3〜C5(地声) | 最高音は1音低いhiCで、出てくるのはサビの1か所。Aメロ・Bメロは低めの音が多い |
| 366日 | HY | F3〜D#5(地声・裏声G#5) | 地声最高音は半音上のhiD#で、出てくるのはラストのサビ。同じ沖縄発のバラードで、裏声も使う |
| ハルノヒ | あいみょん | E3〜C#5(地声) | 最高音は半音低いhiC#だが、低音側がずっと広く、最高音の登場回数も多い |
| First Love | 宇多田ヒカル | E3〜D#5(地声・裏声F5) | 地声最高音は半音上のhiD#。スローテンポのバラードで、サビは地声と裏声の使い分けが要る |
| カタオモイ | Aimer | G#3〜C#5(地声) | 最高音は半音低いhiC#。裏声パートがほぼないゆったりしたバラードで、伸ばす音の練習になる |
「ありがとう」「ハルノヒ」は女性が歌いやすい曲の一覧記事でもタイプ別に整理しています。表の音域はどれも原曲キーでの値です。出典や歌い方によって半音ほど前後します。
伸ばした音の後半をどう支えるかが最大の難所
ロングトーンを最後まで支えきる
この曲の勝負どころは高音そのものではなく、伸ばした音の後半です。息を最初に使いすぎると、語尾が揺れる・音程が下がる・声が細くなるの三重苦になります。フレーズの頭では息を7割に抑え、伸ばしている間も同じ量を流し続ける意識を持つと、最後まで芯が保てます。
まっすぐ安定したロングトーンの練習手順はこちらにまとめています。→ ロングトーンのやり方|まっすぐ安定した声で伸ばす練習
語尾の揺れは「かける」より「許す」
ゆったりしたバラードでは、ロングトーンの後半に自然な揺れが加わると表現の深みが出ます。ただし、揺らそうとして喉であおるとわざとらしい波になり、かえって不安定に聞こえます。
まずはまっすぐ伸ばせる息の支えを作り、その上で揺れが自然に生まれるのを待つ順番が正解です。→ ビブラートの出し方のコツ|自然な揺れを身につける練習
サビのhiDは直前の音で準備する
hiDを狙う瞬間だけ力むと、張り上げた硬い声になってこの曲の透明感が消えます。コツは、高音に入る1つ前の音の時点で息の支えをhiDと同じ量に整えておくこと。「高い音だけ頑張る」のではなく「フレーズごと同じ支えで通す」と、同じhiDでも柔らかく当たります。
サビのhiDとロングトーンを本人のMVで聴く
サビで最高音に触れたあとも声の芯が細くならず、伸ばした音の最後まで息が均一に流れ続けている点に注目して聴いてみてください。
伸ばした音の語尾が震えていないかは、録音で確かめる
「涙そうそう」を原曲キーで歌えるかどうかは、サビのhiDを張り上げず、伸ばす音を最後まで保てるかにかかっています。ところが、自分の声は骨を伝わる音が混じって聞こえるため、「伸ばせているつもり」の語尾が実は震えている、「柔らかく出しているつもり」の高音が実は張り上げている、というケースは非常に多いのです。
歌の練習アプリ「ボイとれ!」の診断は、録音した自分の声をお手本の声と聴き比べて、「張り上げる声」「息っぽい声」など、いちばん近いタイプを自分で選ぶ方式です。
原曲キーで歌えない原因が音域そのものなのか、支え方のクセなのかが見えてくると、キーを下げるべきか練習で届かせるべきかを判断しやすくなります。まずはサビのhiDの前後を録って、あなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】で近いタイプを確かめてみてください。



