「Pretender」(Official髭男dism)の音域|最高音・最低音とカラオケのキー目安
Official髭男dism「Pretender」の音域は地声D#3(mid1D#)〜C5(hiC)、裏声最高音C#5(hiC#)。最高音hiCがサビで何度も戻ってくるため、1発の高音より「高音の持久力」が問われる曲です。原曲キーで歌える条件、男性−4〜−6・女性原曲キーを軸にした調整の目安、張り上げずにサビを歌い切るコツまで解説します。

Official髭男dismの「Pretender」の音域は、**地声の最低音がD#3(mid1D#)、地声の最高音がC5(hiC)、裏声の最高音がC#5(hiC#)**です。最高音のC5はサビを中心に繰り返し登場するため、原曲キーで歌い切れるのは、ミックスボイス(地声と裏声を混ぜた発声)でC5帯を連発しても消耗しない人=男性ではかなりの少数派に限られます。一般的な男性はキーを4〜6個下げるのが現実的で、女性はむしろ原曲キーがちょうど合いやすい曲です。
2019年リリース、映画『コンフィデンスマンJP』の主題歌として大ヒットし、カラオケの定番であり続けている1曲。以下では音域データの中身と、「自分は原曲キーでいけるのか」の判断基準、キーを下げるときの落としどころを具体的に見ていきます。
Pretenderの音域データ
| 項目 | 音 |
|---|---|
| 地声最低音 | D#3(mid1D#=ピアノの真ん中のドより下のレ#) |
| 地声最高音 | C5(hiC=真ん中のドの1オクターブ上のド) |
| 裏声最高音 | C#5(hiC#。主に1・2番のBメロで使用) |
| 音域の幅 | 約1オクターブ+5音 |
| テンポ | BPM92(ゆったりめのミドルテンポ) |
数値は複数の音域データサイトで一致しており、資料間の食い違いはほぼありません。
この表で注目すべきは、最高音C5の「使われ方」です。多くのJ-POPでは最高音は曲中に数回だけ現れる「見せ場」ですが、Pretenderの場合はサビのメロディそのものにC5が組み込まれており、サビが来るたびに何度も戻ってきます。さらにAメロ・Bメロの時点で中高音域を使い、Bメロでは裏声のC#5への切り替えもあります。「1回だけなら出せる高さ」ではなく「出し続けられる高さ」が問われる構成です。
この曲が難しい理由|高さより「高音の持久力」
最高音C5がサビで繰り返される
C5(hiC)は、一般的な男性の地声の上限(多くの場合G4〜A4付近)より半音4〜5個分も上にあります。つまり大半の男性にとって、そもそも地声では届かない高さです。しかもその音が単発ではなくサビ内で繰り返されるため、1回目を力技で出せても、2回目・3回目と進むうちに喉が固まり、音程がぶら下がってきます。「1番のサビまでは何とかなったのに、ラスサビで声が死ぬ」という典型的な消耗パターンが起きやすい曲です。
低い音で休める区間が少ない
最低音のD#3は曲中の一部にしか登場せず、メロディの大半は中高音域に張り付いています。高音の連続の合間に「喉をリセットできる低いフレーズ」がほとんど挟まらないため、発声効率が悪い(=喉を締めて鳴らしている)人ほど回復できずに消耗していきます。
地声と裏声の切り替えが要求される
Bメロでは裏声のC#5が出てくるため、地声〜ミックス〜裏声の切り替えを曲中で行き来する必要があります。地声と裏声の境目(換声点)の処理が不安定な人は、ここで声がひっくり返ったり、裏声だけスカスカに抜けたりと、段差が目立ちやすい構成です。
テンポがBPM92とゆったりしている点は救いで、息継ぎの余白は十分にあります。難しさの正体はリズムではなく、ほぼ純粋に発声の負荷です。
原曲キーで歌えるのはどんな人か
判断基準は、**「地声〜ミックスボイスで、A4〜B4あたりを力まずに何度も出せるかどうか」**です。
最高音のC5が繰り返し出てくる以上、C5ギリギリの人が原曲キーに挑むと、サビ後半で必ず失速します。C5に対して余裕を持てる=その半音〜全音下のB4・A#4を「何度出しても消耗しない」状態で出せる人が、原曲キーで走り切れるラインです。
- 男性の場合:地声の張り上げでC5に「届く」人はいても、サビで連発できる人はごくわずかです。原曲キーで歌い切るには、ミックスボイスを習得済みで、なおかつC5帯で安定していることがほぼ必須条件になります。ミックスボイスがまだ不安定なら、先に出し方の土台を作るほうが近道です。→ ミックスボイスの出し方
- 女性の場合:C5は一般的な女性の地声上限(A4〜C5あたり)のちょうど上端で、高音側はむしろ歌いやすい高さです。ただし最低音D#3は女性にはかなり低く、女性にとっての難所は高音ではなく低音側になります。低いフレーズで声がかすれるなら、キーを1〜2個上げる選択もあります。
「自分の地声が何の音まで出るか」を把握していないまま挑むのは、地図なしで登山するようなものです。まず自分の最高音・最低音を実測しておきましょう。→ 音域を広げる方法と自分の音域の調べ方
キーを下げる目安
男性の場合
| キー設定 | 最低音 | 地声最高音 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 原曲(±0) | D#3 | C5 | ミックスボイスでC5帯を連発できる人 |
| −2〜−3 | C#3〜C3 | A#4〜A4 | 高音が得意で、もう一歩だけ楽にしたい人 |
| −4〜−5 | B2〜A#2 | G#4〜G4 | 標準的な男性の第一候補。最高音が地声上限あたりに収まる |
| −6 | A2 | F#4 | 高音が苦手な人。低音のA2もほとんどの男性が出せる |
多くの男性にとっての落としどころは**−4〜−5**です。C5がG#4〜G4に落ち、「頑張れば届く高さ」から「繰り返しても保つ高さ」に変わります。音域データサイトの推奨も−4〜−6の範囲に集中しており、高音に自信がない人は−6まで下げて構いません。
下げすぎの境界は−6〜−7あたりです。−7以下にすると最低音がG#2以下まで落ち、Aメロの中低音がこもって言葉が聞き取りにくくなります。「サビは楽になったのに全体が暗くボソボソ聞こえる」という状態は、たいてい下げすぎのサインです。
女性の場合
女性は原曲キーが第一候補です。最高音C5は多くの女性の地声で届く範囲にあり、下げる必要はほとんどありません。逆に最低音D#3が出しづらい場合は**+1〜+2**に上げると低音が楽になりますが、そのぶん最高音はC#5〜D5に上がるため、高音に余裕がある人向けの調整です。
キーを下げること自体は逃げでも恥でもなく、この曲では明確に合理的な選択です。下げ幅の考え方の基準はこちらで整理しています。→ カラオケでキーを下げるのはダサい?下げるべき判断基準
サビのhiC連発を本人歌唱で確認する
サビで最高音付近に達したあとも声の太さと音量がまったく落ちずに次の高音へ入っていく、その「消耗しなさ」に注目して聴いてみてください。
難所の歌い方のコツ
サビのC5を張り上げない
最も多い失敗が、C5を喉を締めた大声で押し切る「張り上げ」です。1回は出ても、繰り返しに耐えられません。目安として、サビの最高音を出した直後に小さな声でしゃべれるか、同じ高さを半分の音量でも出せるかを確認してください。どちらかができないなら、いま出ているのは張り上げです。息を強く吐いて音量で押すのではなく、息は細く一定に流し、声を上に押し上げるのではなく前に飛ばすイメージに切り替えると、同じ高さでも喉への負担が大きく変わります。→ 高音で喉が締まる・張り上げてしまう人へ|脱力して高音を出す練習
なお、藤原聡さん本人の高音は「地声で押し切っている」ように聞こえて、実際には地声の質感を保ったミックスボイスです。あの声のしくみと、真似して喉を壊さないための注意点は、藤原聡(Official髭男dism)の歌い方|地声のまま高音を出すミックスボイスと換声点のしくみで詳しく分解しています。
Bメロの裏声C#5への切り替えで段差を出さない
Bメロで裏声に切り替わる箇所は、直前まで地声で歌っているぶん、切り替えの段差(音色の急変・ひっくり返り)が出やすいポイントです。コツは、裏声に入る1音手前から声を少し薄く・軽くしておき、切り替えを「スイッチ」ではなく「グラデーション」にすること。裏声そのものが弱くて抜けてしまう人は、換声点をなめらかにつなぐ練習を先にやっておくと安定します。
キーを下げた場合は低音をこもらせない
−4〜−6まで下げると、最低音がB2〜A2付近まで落ちます。この帯域は油断すると口の中で音がこもり、歌詞が聞き取れなくなります。低音でも息をしっかり流し、言葉を口の前のほうで明瞭に置く意識を持つと、下げたキーでも輪郭のある歌になります。
高音の持久力を鍛える練習曲として、この曲をどう位置づけるかはこちらでも扱っています。→ ミックスボイスの練習曲4選【音域つき】
「音域が足りない」のか「出し方が悪い」のかを切り分ける
Pretenderが原曲キーで歌えないとき、原因は2通りあります。そもそもC5が音域の外にあるのか、届く高さなのに張り上げや裏返りで潰れているのか。前者ならキーを下げれば解決しますが、後者はキーを下げても同じ場所で同じ崩れ方をします。
やっかいなのは、この切り分けが自分の耳ではほぼできないことです。自分の声は骨伝導で歪んで聞こえるため、「出ているつもり」の高音が実は叫びになっていても、歌っている本人には気づけません。
歌の練習アプリ「ボイとれ!」では、録音した声から音域を測り、「高音で張り上げている」「換声点で裏返る」といった声のクセを症状別に診断します。自分の崩れ方のタイプが分かれば、Pretenderに必要なのがキー調整なのか発声の修正なのかがはっきりします。→ あなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】



