「サウダージ」(ポルノグラフィティ)の音域|最高音・最低音とカラオケのキー目安
ポルノグラフィティ「サウダージ」の音域は最低音B3(mid2B)、地声最高音G#4(mid2G#)、裏声なし。幅は1オクターブ未満とJ-POP男性曲としては極端に狭い曲です。ところが実際に歌うとしんどいのは、その狭い音域がまるごと中高音に置かれていて「休憩どころがない」から。さらにラストサビの転調後に最高音mid2G#が約4回繰り返されます。原曲キーで歌える条件、男性−1〜−2・女性は原キーというキー調整の目安、体力配分と息継ぎの設計まで解説します。

「サウダージ」の音域は、最低音がB3(mid2B)、地声最高音がG#4(mid2G#)。裏声は使いません。幅にすると1オクターブに届かない、J-POPの男性曲としては極端に狭い音域です。
ただし「狭い=簡単」ではありません。原曲キーで歌えるかどうかを決めるのは、mid2G#(G#4)が出るかどうかではなく、ラストサビまで体力を残した状態で、mid2G#を4回続けて出せるかどうかです。
サウダージの音域データ
| 項目 | 音 |
|---|---|
| 最低音 | B3(mid2B) |
| 地声最高音 | G#4(mid2G#) |
| 裏声最高音 | なし(裏声は使わない) |
| 音域の幅 | 約6.5音(1オクターブ未満) |
| テンポ | BPM120前後 |
数字だけ見ると、驚くほど狭い曲です。J-POPの男性ヒット曲は1.5〜2オクターブを使うものが珍しくないので、その半分以下しか動きません。
この「狭さ」こそが、サウダージが男女問わず歌われ続けている理由です。動く幅が狭いということは、キーを上げても下げても、どちらかの端が先に破綻しにくいということ。つまりキー変更で自分に合わせやすい曲なのです。
この曲が難しい理由
音域が1オクターブ未満なら、普通は「ラクな曲」に分類されます。ところがサウダージを歌ってみると、多くの人が最後まで持たずに潰れます。ここにこの曲最大のギャップがあります。
狭いのではなく「ずっと高いところに居座る」
音域が狭いというのは、「低い音から高い音まで広く動く必要がない」というだけの話です。サウダージの場合、その狭い範囲がまるごと中高音に置かれています。
曲全体でmid2E〜mid2G#あたりの音が頻出し、Aメロにも、Bメロにも、サビにも、mid2F#以上の音が出てきます。「最初から最後までずっとサビのようなテンション」の曲で、休憩どころがありません。
歌が疲れる原因は、実は「一番高い音の高さ」ではなく「高い音に居続けた時間」のほうです。ボイストレーニングではこれを高音の滞空時間と呼ぶこともあります。ジャンプ1回より、つま先立ちを3分続けるほうが脚にこたえるのと同じ理屈です。サウダージは、つま先立ちのまま4分半歩かされる曲だと思ってください。
ラストサビの転調で、最高音が4回来る
さらにこの曲はラストサビで転調(曲の途中でキーが半音〜1音上がること)します。しかも転調後にmid2G#(G#4)が約4回繰り返されます。
つまり最高音は、最も体力が残っていない場所に、最も集中して置かれている。「1番のサビは出たのに、最後で声が潰れた」という人が多いのはこのためです。ギリギリで出している人ほど、最後の4回で破綻します。
低音は心配しなくていい
一方、最低音のB3(mid2B)は男性としてはかなり高い位置にあります。低音で困ることはほぼありません。この曲で苦しむ場所は、上だけです。
リズムと表現の難しさ
音域以外にも、歌メロのリズムが速く早口気味で、半音刻みの細かい音程変化もあります。「音域より、リズムと表現のほうが難しい」と評価されることが多い曲です。音が届くことと、歌として成立することは別だと考えておいてください。
原曲キーで歌えるのはどんな人か
判断基準は、ひとつだけです。
ラストサビまで体力を残した状態で、mid2G#(G#4)を4回続けて出せるか。
「一発ならG#4が出る」は、この曲では合格基準になりません。1曲通して歌い、最後の転調後にもう一度G#4を4回当てられるかどうか。ここで判断してください。まだ自分の音域を測ったことがない人は、先に音域の調べ方・測り方で自分の地声最高音を確認しておくと、判断が早くなります。
原キーが無理をしているサイン
歌っている最中や歌い終わったあとに、次のような状態になっていたら、原曲キーが自分に合っていない可能性があります。
- 1番のサビの時点で、あごが上がり、首の前側に力が入っている
- 2番に入るころには、もう息が足りない
- ラストサビの転調で、声が細くなる・かすれる・音程が下にぶら下がる
- 最後の高音で叫ぶような声になる
- 歌い終わったあと、喉に違和感が残る
ひとつでも当てはまるなら、キーを下げるか、後述の体力配分を見直すのが先です。無理に押し通しても、高音で喉が締まる・張り上げてしまうクセを強化するだけになりがちです。
キーを下げる・上げる目安
先に整理しておきます。サウダージの原曲キーは、実質「女性向き寄り」です。 上限のG#4は女性の地声圏内に収まり、下限のB3も女性にとって低すぎません。逆に男性にとってはG#4がやや高く、男性は下げるのが定石という曲です。
男性の場合
| キー設定 | 最高音 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 原曲キー(±0) | G#4(mid2G#) | 高音が得意で、ラストサビの4連発まで余力を残せる人 |
| −1 | G4(mid2G) | あと一歩で届く人。まず試す価値がある |
| −2 | F#4(mid2F#) | 多くの男性にとって現実的な着地点。定石 |
| −3〜−4 | F4〜E4 | 高音が苦手で、原キーだと1番で潰れてしまう人 |
男性は−1〜−2が定石です。まず−2から試し、余裕があれば−1、原キーへと戻していくのが安全な順序です。
女性の場合
| キー設定 | 最高音 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 原曲キー(±0) | G#4(mid2G#) | 平均的な音域があれば、そのまま歌える |
| +1〜+2 | A4〜A#4 | 中低音がこもりやすく、もう少し上で鳴らしたい人 |
| −1〜−2 | G4〜F#4 | 低めの声で、B3付近が落ち着く人 |
女性は平均的な音域があれば、原曲キーがそのまま歌えるケースが多い曲です。無理に上げ下げする必要はありません。
下げすぎの弊害(ただし、この曲は下げしろがある)
一般論として、キーを下げすぎると低音がスカスカになり、声に芯がなくなります。ただしサウダージに限っては、最低音がB3と高いところにあるため、下げしろに余裕があります。−3や−4まで下げても、低音が潜り込んで聞こえなくなるリスクは他の曲より小さい。
とはいえ、下げすぎれば全体が低く沈み、この曲特有の熱っぽさは失われます。「高音を出すため」ではなく「最後まで歌い切るため」のキー設定として、−1〜−2から検証してください。キー変更そのものに抵抗がある人は、カラオケでキーを下げるのはダサい?下げすぎのサインと自分に合うキーの決め方も合わせて読んでみてください。
難所の歌い方のコツ
1番で全力を出さない(体力配分がすべて)
サウダージ攻略の8割は、これです。
この曲は最高音が最後に集中しています。にもかかわらず、多くの人は1番のサビで一番大きな声を出し、そこで喉の余力を使い切ってしまいます。1番のサビは、出せる音量の7割程度で歌うつもりでいてください。歌い出しから全力で押し切れる曲ではありません。
やってみると分かりますが、7割で歌ったほうが最後まで声が残り、結果としてラストサビが大きく聞こえます。
転調に備えて、Bメロで一度リセットする
ラストサビの転調では、それまでより高い場所でG#4が4回来ます。ここに入る前に、力みをリセットする瞬間を意識的に作ってください。
- 転調の直前のフレーズで、肩と首の力をふっと抜く
- あごを引いたまま高音に入る(あごが上がると喉が締まります)
- 「もう1回サビが来る」ではなく「ここからが本番」と切り替える
高い音が続くところは、音量ではなく響きで運ぶ
mid2F#以上が延々と続く曲なので、そこを全部押して出そうとすると、必ず途中で息と喉が尽きます。声を前に押し出すのではなく、鼻から上のあたりで響かせるイメージに切り替えると、同じ音でも消耗が減ります。
息継ぎを設計する
歌メロが速く早口気味なので、行き当たりばったりで息を吸っていると、フレーズの途中で足りなくなります。歌詞カードに息を吸う位置をあらかじめ書き込み、毎回同じ場所で吸うようにしてください。具体的な書き込み方は歌の息継ぎのコツ|タイミングと歌詞の書き込み方にまとめています。
サウダージの場合、特に「サビの直前」で確実に吸えているかが勝負になります。ここが浅いと、サビの後半で息が尽きます。
半音刻みの動きは、ゆっくり練習してから戻す
細かい音程変化は、原曲テンポで練習しても身につきません。まずは半分くらいの速さで、音程を一つずつ確認しながら歌う。その状態で正しく取れるようになってから、原曲テンポに戻します。
最後に:自分の声は、自分の耳では正しく聞こえない
ここまでの内容を試しても、「うまくいっているのかどうか分からない」という壁に必ずぶつかります。
理由ははっきりしています。歌っている本人の耳には、空気を伝わってきた声だけでなく、頭蓋骨を通って直接届く声(骨伝導)が混ざります。自分にだけ、実際より太く・安定して聞こえてしまうのです。だから「1番は7割で歌えているつもり」でも、録音してみると1番から全力で張り上げていた、ということが普通に起こります。
やるべきことは1つ。スマホで録音して、聴き返すことです。聴き返すときに見るポイントは3つだけ。
- 張り上げていないか:サビで声が硬く、押しつぶしたように鳴っていないか
- 裏返っていないか:高音に入る瞬間、声が薄くなったり抜けたりしていないか
- 息が漏れていないか:芯がなく、スカスカした声になっていないか
自分の歌声を録音して聴くと気持ち悪く感じるのが普通です(その理由はこちら)。それでも、これをやらない限り自分のクセは見えません。
そして、張り上げ・裏返り・息漏れのどれが自分のクセなのかが分かれば、やるべき練習は自動的に決まります。まずはあなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】で、自分がどのタイプかを見極めるところから始めてみてください。
アプリ「ボイとれ!」では、録音した声を症状別に判定し、そのクセに合わせた練習メニューを出しています。「サウダージのラストサビで潰れる」の正体が張り上げなのか裏返りなのかが分かれば、遠回りせずに済みます。
なお、歌っていて喉に痛みが出る場合は、練習量を増やす前に休んでください。痛みが続くようなら、無理をせず専門医に相談することをおすすめします。



