歌唱テクニック

ボイスパーカッションのやり方|基本の3音と8ビートの作り方、ビートボックスとの違い

ボイスパーカッションは、口でドラムの音を真似る技術ですが、本質は「一定のテンポを刻み続けること」にあります。バスドラム・スネア・ハイハットの3音の出し方と8ビートの組み立て方を、回数とテンポの目安つきで解説します。

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ボイスパーカッションのやり方|基本の3音と8ビートの作り方、ビートボックスとの違い

ボイスパーカッションのやり方|基本の3音と8ビートの作り方、ビートボックスとの違い

ボイスパーカッション(ボイパ)は、口だけでドラムの音を再現する技術です。やり方の入口はシンプルで、バスドラム(低い「ドッ」)・スネア(乾いた「パッ」)・ハイハット(鋭い「ツッ」)の3音を出せるようになり、その3つを8分音符のグリッドに並べるだけで、8ビートという最も基本的なリズムが成立します。

ただ、ボイパの本質は「音真似」ではありません。一定のテンポを、崩さずに刻み続けること——ここが難しく、ここがボイパの正体です。そしてこの「テンポを体で持ち続ける感覚」は、そのまま歌のリズム感の土台になります。

ボイスパーカッションとヒューマンビートボックスの違い

まず、混同されやすい2つを整理します。ボイスパーカッションはアカペラの中で「ドラムパート」を担当する役割であり、ヒューマンビートボックスは1人で完結する単独のパフォーマンスです。

ボイスパーカッションヒューマンビートボックス
ルーツアカペラ・合唱の文脈ヒップホップ文化(1970〜80年代)
役割グループの中のドラムパート(アンサンブルの一員)1人で曲全体を成立させる
音の範囲打楽器の再現が中心打楽器に限らず、ベース・スクラッチ・効果音まで
求められるもの歌と馴染むこと・埋もれないこと音色の多彩さ・技の見せ場

ボイパは「他の人が歌っている上に乗るリズム」なので、目立ちすぎない・音量を安定させる・テンポを絶対に崩さないことが評価軸になります。逆にビートボックスは、喉ベースやスクラッチのような派手な個人技がそのまま武器になります。

この記事で扱うのは前者、つまり歌に馴染むリズムを刻むためのボイパです。技としては両者の基本の3音は共通なので、ビートボックス入門としてもそのまま使えます。

基本の3音の出し方(バスドラム・スネア・ハイハット)

ドラムセットは、最低この3つがあればビートとして成立します。それぞれ口の使い方が違うので、1音ずつ単独で出せるようにしてから組み合わせます。いきなり同時に練習すると、どの音も中途半端になります。

バスドラム(低音・「ドッ」/「ブッ」)

リズムの土台になる、いちばん低い音です。

  1. 唇を軽く閉じます(力は入れず、上唇を下唇に添える程度)。
  2. 口の中に空気を溜め、低い声で**「ド」または「ブ」**と言うつもりで、唇を短く破裂させます。
  3. 音を出したらすぐ唇を閉じ、余韻を残さない。「ドーッ」と伸びると太鼓に聞こえません。

コツ:喉ではなく、お腹の奥から短く押し出す感覚で。胸のあたりが軽く響いていれば、低くて深い音になっています。 目安:4拍子で「ドッ・休・ドッ・休」を、1セット30回×3セット。まずは音量より「短く切れているか」を優先します。 NG例:唇に力を入れすぎて「プッ」と高くなる/声を長く伸ばして「ドー」と歌ってしまう。

スネア(中音・「パッ」/「プッ」)

2拍目・4拍目に入る、曲のノリを決める音です。本物のスネアは「膜を叩く音」+「裏側のスナッピー(響き線)のシャッという振動」の2層でできているので、ボイパでもこの2つを重ねます。

  1. 唇を閉じて、中くらいの高さで**「プ」**(または「パ」)と破裂させる=膜を叩く音。
  2. その破裂と同時に、歯の隙間から息を「シュッ」と鋭く逃がす=スナッピーの音。
  3. 破裂と息漏れが同じ瞬間に重なると、乾いた「パッ」になります。

コツ:声の成分を抜いた「無声」で出すと、マイクに乗ったときに歌と混ざらず抜けてきます。声を混ぜた「有声スネア」は生声で聴くと迫力が出るので、場面で使い分けます。 目安:「休・パッ・休・パッ」で30回×3セット。破裂だけ(息なし)と息だけ(破裂なし)を交互に出して、両方が同時に鳴っているかを確かめます。 NG例:息だけで「シュッ」となり芯がない/破裂だけで「プッ」と丸くなり、スネアではなくバスドラムに聞こえる。

ハイハット(高音・「ツッ」/「チッ」)

8分音符を刻み続ける、時計の針にあたる音です。

  1. 舌先を上の歯の裏に軽くつけます。
  2. **「ツッ」または「チッ」**と、舌打ちに近い短い音を出します。声は使いません。
  3. 息の量は少なく。「ツー」と伸ばさず、点で切ります。

コツ:ハイハットは1小節に8回鳴る=いちばん回数が多い音です。大きく鳴らそうとせず、小さく均一に。ここが不揃いだと、他の音がどれだけ良くてもリズムが濁ります。 目安:「ツッ・ツッ・ツッ・ツッ…」を8回×8小節、休まず一定の音量で。 NG例:力んで「チッ!」と鳴らすたびに音量がバラつく/息を吐きすぎて4小節目で息切れする。

【動画】バスドラムとハイハットを実際の口の動きで確かめる

バスドラムを出す瞬間に、唇がどれくらいの一瞬で閉じているか(余韻がないか)に注目して見てみてください。文字にすると「ドッ」ですが、実際の破裂はもっと短いことがわかります。

3音を組み合わせて8ビートを作る

8ビートとは、4拍子の1小節を8分音符8つに割ったリズムです。この8つのマスに、さきほどの3音を並べます。

基本形(1小節=8マス)

1&2&3&4&
ハイハット
バスドラム
スネア

口に出すと「ドツ・ツツ・パツ・ツツ・ドツ・ツツ・パツ・ツツ」——実際にはハイハットとバスドラム/スネアが同じ瞬間に重なるので、慣れるまでは重なる部分を省いて「ドッ・ツッ・パッ・ツッ(4分音符で4つ)」から始めてください。

手順

  1. メトロノームを BPM60 に設定し、「ドッ・ツッ・パッ・ツッ」だけを2分間続ける。まずは遅すぎるくらいで。
  2. 崩れずに2分できたら BPM80へ。同じく2分間。
  3. BPM80が安定したら、ハイハットを8分に増やす(「ドツ・ツツ・パツ・ツツ」)。ここで一気に難しくなるので、またBPM60に戻して構いません。
  4. 最終的な当面のゴールは BPM90〜100 で8ビートを2分間、崩さず刻めること。一般的なJ-POPのミドルテンポがこのあたりなので、曲に合わせやすくなります。

1日の練習量の目安:3音の単独練習5分+8ビート10分=15分。毎日15分を2週間続けると、「口が勝手に刻む」状態に近づきます。速く叩けることより、同じテンポを長く保てることを先に取りにいってください。

息の使い方——吸う息でも音を出す

ボイパを始めた人が最初にぶつかる壁が「息が続かない」です。理由は単純で、すべての音を「吐く息」で出しているからです。

ボイパ・ビートボックスには、**吐いて出す音(アウトワード)と、吸いながら出す音(インワード)**があります。上級者が延々とビートを刻み続けられるのは、息継ぎのために止まっているのではなく、吸う動作そのものをビートの一部にしているからです。

初心者がまず取り入れやすいのは、スネアを「吸いながら」出すやり方です。歯の隙間から息を鋭く吸い込むと、「スッ」という無声の破裂音が鳴ります。これを4拍目のスネアに割り当てれば、1小節に1回は必ず息を取り込めるので、ビートを止めずに続けられます。

目安:吸うスネアだけを単独で20回。鳴るようになったら、8ビートの4拍目だけを吸うスネアに置き換えて、1分間続けてみてください。

やりがちな失敗と直し方

テンポが走る(だんだん速くなる)

いちばん多い失敗です。盛り上がってくると、人は必ず速くなります。しかも自分では気づけません。

  • 原因:ハイハットを「速く刻もう」と意識している/メトロノームなしで練習している。
  • 直し方:必ずメトロノームを鳴らして練習する。さらに、メトロノームを2拍目と4拍目だけに鳴らす設定(=裏でカウントを取る)にすると、走りが露骨に露呈します。ここでズレるなら、テンポを保てていません。
  • 確認法:スマホで30秒録音し、メトロノームと一緒に聴き返す。後半で自分の音がクリック音より前に出ていたら走っています。

音が小さい・埋もれる

  • 原因:唇や舌に力を入れて「強く」出そうとしている。力むと、かえって音が詰まって飛びません。
  • 直し方:音量は「口の中の空気圧」で作ります。破裂の瞬間だけ空気を押し出し、それ以外は脱力する。ハイハットは大きくしない(増やすのはバスドラムの深さ)。
  • NG例:喉を締めて叫ぶように出す。喉を痛めるだけで、音は大きくなりません。

息が続かない

  • 原因:全部の音を吐く息で出している/腹式ではなく肩で息をしている。
  • 直し方:上で挙げた「吸うスネア」を組み込む。あわせて、息を下腹で支える感覚を作っておくと安定します。呼吸の土台については歌の腹式呼吸のやり方が、フレーズの中でどこで息を取るかという考え方は歌の息継ぎのコツがそのまま応用できます。ボイパも歌も、「息が足りない」の正体はたいてい息を取るタイミングを設計していないことです。

ボイパで身につくのは「歌のリズム感」

ここが、ボイパを歌う人が練習する最大の理由です。

歌が上手い・下手を分ける要素は音程だけではありません。音程が合っていても、リズムが走ったりモタったりしていると「なんとなく下手」に聞こえます。そしてリズムのズレは、音程のズレより自覚しにくい。

ボイパの練習は、この弱点をピンポイントで鍛えます。

  • 一定のテンポを体の内側に持ち続ける訓練になる:8ビートを2分間崩さず刻む練習は、そのまま「曲の間ずっとテンポを保つ」練習です。
  • 裏拍を体で覚える:ハイハットの8分刻みは、1拍を「表」と「裏」に分ける感覚そのもの。裏拍が取れると、歌のノリ(グルーヴ)が一気に変わります。
  • 呼吸のコントロールが鍛えられる:息を計画的に配分し、決まったタイミングで取り込む練習は、ロングトーンやフレーズの歌い切りに直結します。

実際、ボイパができる人は歌のリズムも正確なことが多いです。リズムの取り方そのものを体系的に鍛えたい場合は、リズム感を鍛える方法で、手拍子・裏拍・メトロノームを使った練習に進んでください。ボイパはその「実技版」にあたります。

また、ボイパはアカペラの中でドラムパートを担う役割なので、他のパートと合わせて初めて意味を持ちます。他の人の声と自分の音をどう噛み合わせるかという観点では、ハモリのコツの「相手の声を聴きながら自分の位置を決める」という考え方が共通します。

自分のリズムが走っているかは、自分では分からない

最後に、いちばん大事なことを書きます。

自分が刻んでいるビートが走っているか、モタっているか——演奏している本人には、ほぼ分かりません。 声も同じです。歌っている最中の自分の声は、骨伝導を含んだ「自分だけに聞こえる音」なので、実際に外に出ている音とはズレています。だから「録音して聴き返す」以外に、自分のリズムとテンポを客観的に確認する方法はありません。

  • メトロノームと一緒に、8ビートを30秒録音する。
  • 再生して、クリック音と自分の音が最後までピッタリ重なっているかを聴く。
  • ズレていた場所(たいてい後半、または盛り上がる箇所)をメモして、そこだけテンポを落として練習する。

歌でも、まったく同じ作業をします。録音して、自分の声のどこにクセがあるのかを特定してから、そのクセに効く練習をする——これが遠回りに見えていちばん速い道です。自分の声がどのタイプのクセを持っているかは、声のクセ4タイプ診断で、張り上げ・裏返り・息っぽさ・安定不足のどれに当てはまるかを確認できます。リズムを整えたうえで声のクセも直せば、「上手い」と言われるまでの距離は一気に縮まります。

独学で続けるか、教室に通うかで迷っている場合は、ボイトレアプリと教室の違いも判断材料にしてみてください。

#ボイスパーカッション#ボイパ#リズム感#歌唱テクニック

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