ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文の歌い方の特徴|母音の均質化とミックスボイス習得
ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文の歌唱を、母音の響きの均質化やミックスボイス習得による変化から解説します。

語りかけるような発声の正体
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル、後藤正文さんの歌い方は、友人に話しかけるような自然体の語り口から始まり、サビで一気に感情が爆発するような対比が特徴です。この記事では、その発声の仕組みを技術面から見ていきます。
母音を均質化する「ハミング寄り」の響き
後藤さんの歌唱でよく指摘されるのが、すべての母音を似た響きでつなぐ発声です。「あ」「い」「う」「え」「お」それぞれの口の形は変えつつも、響きの位置(鼻腔寄りの響き)を揃えることで、フレーズ全体がなめらかに聞こえます。同時に子音だけはクリアに立てているため、言葉の輪郭がぼやけず、語りかけているような自然さが生まれるのです。この母音の響きを均質化するには、喉の奥や鼻腔の使い方を安定させる必要があり、土台には腹式呼吸のやり方|お腹から声を出す基本の練習で紹介されているような、息の流れをコントロールする基礎が効いてきます。
「転がる岩、君に朝が降る」で語りかける発声を聴く
母音の響きが均質に揃っているぶん、言葉が滑らかにつながって聞こえる様子に耳を澄ませてみてください。
「リライト」新旧バージョンに聴く、シャウトからミックスボイスへの変化
2004年にリリースされた「リライト」のオリジナル版では、サビで喉から絞り出すようなシャウト気味の高音が使われており、後藤さん本人も「腹からでなく口先で歌っていた」「喉歌のような感覚だった」と後年振り返っています。喉に負担のかかりやすい発声だったことがうかがえます。
一方、2016年に同曲を再録した際には、ミックスボイスの出し方|地声のまま高音を楽に出す練習方法のような、地声を張り上げる代わりに地声と裏声を混ぜる技術を習得したことで、同じサビの高音部分がより滑らかに、喉の力みを抑えた響きに変化しています。本人も「お腹から腸を通って声が響くようになった」と表現しており、地声から裏声へ移る換声点(声がひっくり返りやすいポイント)を意識的にコントロールできるようになったことがうかがえます。同じ曲の新旧バージョンを聴き比べると、この変化がわかりやすく感じられます。このあたりの声の切り替えに悩む方は、地声から裏声で裏返る・換声点でひっくり返る人へ|つなぎ目をなめらかにする練習も参考になるはずです。
呼吸法の変化がブレスの持続力を支える
インタビューによると、後藤さんは腹式呼吸から「お腹を凹ませながら息を吸い、上体に空気を入れる」呼吸法に移行したと語っています。これにより、長いフレーズを歌い切るブレスの持続力が増したとされています。バンドサウンドの中で声を張り続けるロックボーカルにとって、呼吸のコントロールは音程の安定にも直結する重要な要素です。
真似するときの注意点
サビでの張り上げるような高音表現に憧れて真似する場合、地声のまま無理に音量を上げようとすると喉に負担がかかりやすくなります。まずはミックスボイスの感覚をつかみ、喉が締まる感覚がないか確認しながら練習することをおすすめします。少しでも痛みや違和感を覚えたら、その日は無理をせず休むようにしてください。
自分の声のクセは、自分ではなかなか気づけない
ここまで後藤正文さんの発声の変化を見てきましたが、実は自分の声の響き方や高音での喉の締まり方は、自分の耳では正確に把握しづらいものです。録音して客観的に聞いてみると、意外な発見があることも少なくありません。あなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】では、録音した自分の声から症状別のタイプを診断できるので、まずは自分の現在地を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。



