瑛人「香水」の音域は?最低音mid1A#〜地声最高音mid2G#|原曲キーで歌えるかの判定基準

この記事で扱う「香水」は、瑛人が2020年に弾き語りで発表した楽曲のほうです(同名の製品ではありません)。その「香水」の音域は、最低音がmid1A#(A#2)、地声最高音が**mid2G#(G#4)**で、裏声は使われていません。地声の天井はmid2G#どまり、しかも高音が連発する曲でもないため、音域の数字だけを見れば「原曲キーで歌えそう」に見える一曲です。ところが実際に歌うと、弾き語り特有の脱力した気だるい発声と、音程の微妙な上下のほうでつまずきます。
この記事の数値は、vocal-range.com・stepupkaraoke・レオンの音域紹介所など複数の音域分析サイトを突き合わせ、一致した値だけを採用しています。
「香水」の音域データ|最低音mid1A#・最高音mid2G#
| 区分 | 音名(日本式 / 国際式) | 主な登場箇所 |
|---|---|---|
| 最低音 | mid1A#(A#2) | Aメロ・Bメロ |
| 地声最高音 | mid2G#(G#4) | サビ・Cメロ |
| 裏声最高音 | なし(地声のみ) | ― |
最低音mid1A#と地声最高音mid2G#という値は、確認した音域分析サイトすべてで一致しており、確度は高いと言えます。そして裏声を一度も使わず、全編を地声だけで歌い切る構成になっているのがこの曲の特徴です。
地声だけで見た音域の幅は、mid1A#からmid2G#までのおよそ2オクターブ弱。最高音の絶対値はサビでmid2G#に触れる程度で、跳ね上がるような高音の連発はありません。「高くて出ない」タイプの難しさが薄いぶん、歌いやすい曲だと言われがちなのはこの数字が理由です。
なぜ「香水」は歌いやすいのに難しいのか
音域が狭く、天井もmid2G#どまり。数字を見て「これなら原曲キーでいける」と判断する人が多い曲ですが、いざ歌うと再現が難しいのは、難しさの正体が高さではなく「発声の質」と「音程の微妙さ」にあるからです。難しさを分解すると次の3点になります。
- 脱力した気だるい発声を保つこと:この曲は張り上げず、力を抜いた語りかけるような発声で成り立っています。カラオケで気合いを入れて声を張ると、原曲の気だるい空気が消えて別物になります。「大きく歌う」より「力を抜いたまま音程を当てる」ほうが、多くの人にとって難しい技術です。
- 音程の微妙な上下:メロディが大きく跳躍しない代わりに、半音〜全音の狭い幅でゆらゆらと上下します。音の幅が小さいぶん、少しでもずれると「音痴に聞こえる」のが目立ちやすく、ごまかしが効きません。
- 低音のmid1A#を地声で鳴らすこと:AメロやBメロで最低音のmid1A#が出てきます。男性の平均的な地声からするとやや低く、脱力したまま低音を芯のある声で鳴らすのは、慣れていないと声がかすれて埋もれます。
高さで殴られる曲ではなく、脱力・音程の精度・低音の安定という「地味な精度」が問われるのが「香水」です。音域表の数字だけを見て「余裕」と判断すると、本番で「なぜか原曲っぽく聞こえない」壁にぶつかりやすい曲だと言えます。カラオケで歌いやすいとされる曲に共通する条件はカラオケで歌いやすい曲にまとめています。
瑛人本人の歌唱で音の配置を確かめる
サビでmid2G#に上がる場面でも声を張り上げず、脱力した気だるい響きを一定に保ったまま歌っている点に注目して聴いてみてください。
原曲キーで歌える条件は「脱力したままmid2G#を出せるか」
判定の基準は「最高音のmid2G#が一発出るか」ではありません。サビのmid2G#を、力まず脱力した発声のまま、気だるい響きを崩さずに出せるかです。喉を締めて張り上げて出したmid2G#は音程こそ合っていても、この曲が持つ雰囲気を再現できません。
自分の地声最高音がmid2G#に無理なく届くかどうかがまず入口になります。ここが曖昧なままキーを決めると本番でずれるので、自分の音域を先に測っておくのが近道です。調べ方は声の音域の調べ方にまとめています。
- 男性:地声最高音がmid2G#に脱力したまま届く人は原曲キー。締まる・張り上げてしまう人は-2〜-3で調整すると、気だるい発声を保ちやすくなります。
- 女性:最低音のmid1A#が低すぎて地声で鳴らしにくいため、+4〜+6ほど上げて自分の得意な高さに寄せるのが定番です。上げすぎるとサビのmid2G#が届かなくなるので幅の中で調整してください。
キーを下げる目安
原曲キーでサビのmid2G#が締まる場合、まず**-2〜-3**から試すのが目安です。「香水」は地声最高音がmid2G#と、男性にとっては下げしろのある位置なので、-2下げるだけでサビの最高音がmid2F#前後に落ち、脱力したまま歌う余裕が生まれます。
一方で最低音のmid1A#はもともとかなり低いため、下げすぎると今度はAメロ・Bメロの低音が地声で鳴らせなくなります。「高い側がつらいのか」「低い側が聞こえないのか」を切り分けてから下げ幅を決めてください。下げるときにダサく聞こえない実践的なコツはカラオケでキーを下げるのはダサい?で解説しています。
難所は3つ
サビの張り上げ
mid2G#を力任せに出そうとすると喉が締まり、気だるいはずの響きが力んだ声に変わってしまいます。声を張り上げてしまう癖がある人は張り上げて喉が締まるのを直すを先に押さえておくと、脱力したままサビを通せるようになります。
低音mid1A#の安定
AメロとBメロで最低音のmid1A#が出てきます。低い音を地声で芯を持って鳴らすには、喉を開いたまま息を混ぜすぎないコントロールが要ります。低音を含めて自分の出せる音域を広げたい人は高い声の出し方のコツで高音側の考え方とあわせて音域全体の感覚を整理してみてください。
息継ぎと脱力の両立
語りかけるように続くフレーズを、力を抜いたまま歌うには、どこで息を吸うかを設計しておく必要があります。行き当たりばったりで吸うと発声に力が入り、気だるい空気が途切れます。息の配分の考え方は息継ぎのコツにまとめています。
音域が近い曲で段階を踏む
いきなり「香水」の脱力した発声に挑む前に、当メディアで音域を確認済みの近い曲で足場を作ると近道です。
- ロビンソン(スピッツ):張り上げず一定の響きで歌う感覚が近く、脱力したまま音程を保つ練習になります。
- チェリー(スピッツ):音域の幅が広すぎず、力を抜いたまま歌い切る持久力を鍛える足場に向いています。
- ひまわりの約束(秦基博):低音から中音を丁寧に鳴らすタイプで、香水の低音mid1A#の安定にもつながります。
「香水」を脱力したまま原曲っぽく歌えるようになったら、これらの曲で発声の一定感や低音の芯をさらに磨く、という順番が無理がありません。
「原曲キーでいけるか」は録音しないと分からない
自分の声は骨伝導が混じって、実際より上手く・脱力できているように聞こえます。頭の中では気だるく歌えているつもりでも、録って聴くとサビで力んでいたり、狭い音程がわずかにずれていたりするのはよくあることです。
だからこそ、キーを決める前に一度自分の「香水」を録音して聴き返すのが確実です。録った声のどこが力んでいるか、どのタイプの癖が出ているかを整理したい人は、声のクセ診断(4タイプ)から入るとつまずきの正体が見えてきます。ボイトレアプリ「ボイとれ!」なら、録音した自分の声の音域や音程のずれを可視化しながら、香水のような脱力と精度が問われる曲を段階的に練習できます。まずは録って、自分の現在地を知るところから始めてみてください。



