発声・ボイトレ基礎

歌が上手くなるアプリの使い方|3日で辞める人と1ヶ月で変わる人の差

歌が上手くなるアプリを入れたのに変化がない——その原因はアプリ選びではなく、使い方にあります。なんとなく歌って終わる・点数だけを見る・弱点に合わない練習をする。効果が出ない5つの使い方と、1ヶ月で変化を出すための具体的な手順を、時間と頻度の目安つきで解説します。

ボイとれ!編集部ボイとれ!編集部
歌が上手くなるアプリの使い方|3日で辞める人と1ヶ月で変わる人の差

歌が上手くなるアプリは、入れただけでは上手くなりません。 ダウンロードして3日で開かなくなる人と、1ヶ月後に「声が変わった」と言える人がいますが、その差はアプリの性能でも才能でもなく、使い方にあります。

差はたった1点。最初に「自分の何を直すのか」を特定したかどうかです。それをせずにアプリを開くと、なんとなく歌って、なんとなく点数を見て、なんとなく飽きます。この記事では、効果が出ない使い方を5つ挙げたうえで、1ヶ月で変化を出すための具体的な手順を、時間と頻度の目安つきで解説します。

なお「どのアプリを選ぶか」は、この記事では扱いません。アプリごとの長所短所と選び方はボイトレアプリおすすめ3選にまとめてあります。ここで扱うのは、選んだあとにどう使うかです。

効果が出ない使い方1:アプリを開いて、なんとなく歌って終わる

一番多いのがこれです。アプリを開き、表示された練習メニューを上から順にやり、10分後に閉じる。あるいは好きな曲を1曲歌って、気持ちよくなって閉じる。

これは練習ではなく娯楽です。娯楽が悪いわけではありませんが、娯楽は上達しません。練習と娯楽を分けるものは1つだけで、「今日、何を直しに来たのか」が言えるかどうかです。

試しに、次にアプリを開くとき、開く前に口に出してみてください。

  • ✕「今日はボイトレをやる」
  • ○「今日は、サビの高音で喉を締めて張り上げるクセを直す」

前者しか言えない状態でアプリを開いている限り、何ヶ月やっても変化は出ません。直す対象が決まっていないので、直ったかどうかも判定できないからです。判定できないものは、続きません。

効果が出ない使い方2:点数・スコアだけを見て一喜一憂する

採点機能のあるアプリを使っていると、いつのまにか点数を上げるゲームになります。88点、91点、また85点に落ちた——と一喜一憂して、その日が終わる。

問題は、点数は「結果」であって「原因」ではないことです。85点と出たとき、その数字はあなたに何も教えてくれません。なぜ85点なのか。高音で音程が上ずっているからなのか、リズムが走っているからなのか、そもそも声に芯がなくて拾われていないのか。次に何を練習すればいいかが分からないまま、また歌って、また点数を見る。 これを繰り返している人が本当に多いです。

点数そのものを否定しているわけではありません。カラオケの点数を上げたいのであれば、採点系のアプリは有効です。点数という明確な目標があるぶん、モチベーションも保ちやすい。ただ、「歌が上手くなりたい」の中身が「声のクセを直したい」であるなら、点数を見ているだけでは目的地に着きません。測ることと、直すことは別の作業です。

効果が出ない使い方3:自分の弱点に合わないメニューをやっている

アプリに入っている練習メニューを、上から全部やる。これも効きません。

たとえば、あなたの本当の課題が「高音で喉を締めて張り上げること」だったとします。それなのに音程を合わせる練習ばかり30分やっていたら、その30分は課題に一切触れていないことになります。音程練習が悪いのではなく、あなたの症状に対応していないだけです。

歌の悩みは、ざっくり4つの症状に分かれます。

自分の実感症状
高音になると喉が苦しい・怒鳴るように出している張り上げ・力み
高音でスカッと裏返る・低音と高音で声色が変わる裏返り(換声点の段差)
声が細い・息が混じって通らない・マイクに乗らない息っぽい・声の芯がない
大きな破綻はないが、もっと安定させたいつながった声(仕上げ段階)

この4つは、必要な練習がまったく違います。張り上げの人には脱力の練習が要りますが、息っぽい人が脱力の練習をしたら、さらに声が細くなるだけです。自分がどれなのかを決めずにメニューを消化するのは、症状を確かめずに薬を飲むのと同じことです。

自分がどの症状に当てはまるかは、あなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方でセルフチェックできます。

効果が出ない使い方4:録音を聴き返していない

アプリに録音機能があっても、録るだけで聴き返さない人が非常に多いです。あるいは、そもそも録音していない。

これは致命的です。理由は単純で、歌っている最中のあなたには、自分の声が正しく聞こえていないからです。自分の声は、空気を通って耳に届く音と、骨を伝わって内側から響く音が混ざって聞こえます。だから「今、ちゃんと出ている」という自己評価は、ほとんどあてになりません。

つまり、録音を聴き返さないかぎり、上達したかどうかを一生確認できないということです。変化が確認できないから、手応えがない。手応えがないから、続かない。3日で辞める人の多くは、ここで詰まっています。

初めて自分の録音を聴くと、たいてい落ち込みます。それは正常な反応です。落ち込む必要も、やめる必要もありません。詳しくは自分の歌声を録音すると気持ち悪いのはなぜ?で、録音のやり方と聴き返すときのチェックポイントを解説しています。

効果が出ない使い方5:まとめて長時間やって、続かない

「今日はやる気があるから1時間やろう」——これも失敗パターンです。

声は筋肉と粘膜を使うので、長時間やると疲れて、フォームが崩れます。疲れた状態で練習すると、崩れたフォームのほうを体が覚えます。さらに、翌日から喉が重くなって、2〜3日空く。空くと、また最初から感覚を取り戻すところに戻ります。

1回30分より、毎日10分です。声の練習は、筋トレというより歯磨きに近いものだと考えてください。まとめて磨いても意味がなく、毎日少しずつやることでしか変わりません。効果が出るまでの期間の目安と、効果が出ない人の共通点はボイストレーニングの効果はいつ出る?にまとめています。

効果が出るアプリの使い方|1ヶ月の進め方

ここまでの裏返しが、そのまま効く使い方になります。1ヶ月を4週間に分けて、具体的に書きます。

1週目:自分の弱点を特定する(毎日10分)

最初の1週間は、練習しません。自分の症状を特定することだけに使います。 ここを飛ばすから、続かないし、効かない。

  1. 練習中の曲のサビを30秒、録音する(アカペラか、伴奏を小さく流して)
  2. 聴き返す。上の4つの症状の表と照らして、自分がどれに一番近いかを決める
  3. 判断がつかなければ、2〜3日ぶん録って聴き比べる

ゴールは、症状の名前を1つ、自分に貼ることです。「高音がなんか苦手」ではなく「高音で張り上げている」。ここまで来れば、あとの3週間は迷いません。

2〜4週目:その弱点に効く練習だけをやる(毎日10〜15分)

決めた症状に対応する練習だけを、毎日10〜15分やります。他のメニューには手を出さないでください。全部やろうとした瞬間、また「なんとなく歌う」に戻ります。

  • 高音で張り上げる → 脱力系の練習(リップロールなど)で、喉を締めずに同じ高さまで上がる感覚を作る
  • 高音で裏返る → 地声と裏声を行き来する練習で、切り替わり目の段差をならす
  • 声が息っぽい・細い → 声帯をしっかり合わせて芯を出す練習を、弱いところから積む
  • 大きな破綻はない → 音域全体を安定させる練習で仕上げる

毎週1回:録音して変化を確認する

週に1回だけ、1週目と同じ曲・同じサビを、同じ条件で録音します。 曲もキーも変えないでください。条件を揃えないと、変化が変化に見えません。

先週の録音と並べて聴いて、次の1点だけを確認します。「決めた症状は、先週より軽くなったか」。他は見なくていいです。ここで「少しマシになった」と感じられれば、それが継続の燃料になります。

「点数が出るアプリ」と「原因が分かるアプリ」は別物です

ここまで読んで気づいた方もいると思いますが、上に書いた手順(弱点を特定する→その弱点だけをやる→週1で確認する)を、自力でやるのは実はかなり大変です。特に1週目——自分の録音を聴いて症状の名前を貼る作業は、比較対象がないと判断がつきません。

アプリを大きく分けると2種類あります。

採点系のアプリは、結果を出します。 点数、音程一致率、ビブラート回数。自分の現在地を測るには便利です。ただし前述のとおり、なぜ下手なのか・次に何を練習すべきかは教えてくれません。点数を上げたい人には向いていますが、症状を直したい人には情報が足りません。

ボイトレ系のアプリは、原因と次の一手を出します。 私たちが開発している「ボイとれ!」は後者です。録音したあなたの声を、上に挙げた4つの症状(張り上げ・裏返り・息っぽい・つながった声)のどれに当てはまるか診断します。このとき、それぞれの症状のお手本音源が聴けるのがポイントで、「張り上げ」と文字で言われても分からないので、実際にその声を聴いて、自分の録音と聴き比べて選ぶ形です。

そして診断結果から、その症状に効くレッスンが組まれます。

ボイとれ!のレッスン詳細画面。診断結果から「張り上げをやめる」というレッスンが組まれ、8ステップ・約29分・初級と表示されている

レッスンは症状ごとに分かれていて、たとえば裏返りなら「声の裏返りをなくす」→「地声と裏声をなじませる」→「つなぎ目の段差を消す」というように、軽くなっていく順番に並んでいます

ボイとれ!のレッスン一覧画面。裏返り・弱い/息っぽいなど症状ごとにレッスンが分類されている

つまり、この記事に書いた「1週目=弱点の特定/2〜4週目=その弱点だけ/週1で録音確認」の型を、アプリ側が代わりに設計してくれる、という位置づけです。自力でやれるならアプリは要りません。自力でやるのが難しいところ(症状の判定と、症状に合う練習の選定)を肩代わりさせるために使う、と考えてください。

無料で使えるのか(正直に書きます)

「歌が上手くなるアプリ 無料」で探している方が多いので、隠さず書きます。

この記事の1週目——録音して自分の症状を探すところまでは、完全に無料でできます。 スマホに最初から入っているボイスメモで今日から始められます。まずここから始めてください。何もダウンロードしなくていいです。やっていない人との差は、これだけで確実につきます。

ただし、症状の判定と、症状に合ったレッスンの設計までを無料アプリに求めるのは難しいです。 声を症状別に分類する処理や、症状ごとのお手本音源・レッスンを用意するにはコストがかかるためです。無料アプリの多くは、録音・音程表示・採点までで止まります。

ボイとれ!の場合は、2週間は無料で全機能を試せます。 その後、継続する場合は月額980円です。ボイトレ教室が1回5,000〜8,000円ほどであることを考えると安い水準ですが、「無料でずっと使えるアプリ」ではないことははっきりお伝えしておきます。2週間あれば、この記事の1週目(症状の特定)と2週目(症状に合う練習を一周)を終える時間としては十分です。合わなければ解約してください。

アプリとボイトレ教室のどちらを選ぶべきかで迷っている場合は、ボイトレはアプリと教室どっちがいい?費用と効果で比較で、費用・効果・向いている人を比較しています。

どのアプリを使うにしても、最初にやることは同じです

最後にもう一度だけ。アプリを入れる前でも、入れた後でも、最初にやることは変わりません。自分の声を録音して、自分の症状に名前をつけることです。

これをやらずにアプリを開くから、なんとなく歌って、点数に一喜一憂して、3日で飽きます。逆に、症状さえ決まってしまえば、練習は驚くほどシンプルになります。やることが1つに絞られるので、毎日10分でいい。10分でいいから、続きます。続くから、1ヶ月後に変化が出ます。

まずはあなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方で、自分がどのタイプかの当たりをつけてみてください。そこからの1ヶ月は、これまでの1ヶ月とはまったく別の時間になります。

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