「群青」(YOASOBI)の音域|一番高い音が一番疲れた場所に置かれている曲|キー目安とタイプ別対処
YOASOBI「群青」の音域は最低音F3(mid1F)・地声最高音E5(hiE)・裏声最高音G#5(hiG#)。地声だけでほぼ2オクターブと広いうえ、終盤の転調後に最高音が来るため、体力配分まで含めた設計が要る曲です。原曲キーで歌える条件、キーを下げる目安、つまずき方3タイプ別の対処を解説します。

YOASOBIの「群青」の音域は、最低音F3(mid1F)・地声最高音E5(hiE)・裏声最高音G#5(hiG#)です。
地声だけでほぼ2オクターブ、裏声まで含めると2オクターブ+3半音に及ぶ、J-POPの中でも最上位クラスに広い音域の曲です。原曲キーで歌い切れるのは、hiEを「曲の終盤でも」当てられる高音に強い女性か、裏声まで鍛えた一部の男性に限られます。
なお、この記事で扱うのはYOASOBI(ボーカル:ikura=幾田りらさん)が2020年に発表した「群青」です。東京事変の「群青日和」、Eveの「群青讃歌」、スピッツの「群青」は名前の似た別の曲なので、お探しの曲かどうか先に確認してください。
「群青」の音域データ|最低音mid1F・地声最高音hiE・裏声hiG#
音域は vocal-range.com の分析に沿っています(出典によって半音ほど違うことがあります)。
| 項目 | 国際式 | 日本式 |
|---|---|---|
| 最低音 | F3 | mid1F |
| 地声最高音 | E5 | hiE |
| 裏声最高音 | G#5 | hiG# |
ポイントは最高音の「置かれ方」です。「群青」は終盤で半音上に転調すると分析されており、地声最高音のhiEはその転調後のラストサビに2回ほど、裏声最高音のhiG#は終盤の合唱(斉唱)パートに現れます。つまりこの曲は、一番消耗した状態で一番高い音を要求してくる構造です。
hiEという高さは女性ボーカル曲の中でも上位で、たとえば紅蓮華(LiSA)の地声最高音hiD(D5)より1音高いところまで地声域が伸びています。
転調後のラスサビと終盤の合唱パートを原曲で確認する
終盤でキーが上がった後のサビが力で押す声に聞こえるか、軽く当てた声に聞こえるか、そして終盤の合唱パートの高い音がどんな声で歌われているかの2点に注目して聴いてみてください。
「群青」が難しい理由は「高さ」より「配分」
音域データを難しさに翻訳すると、壁は4つあります。
- 幅がほぼ2オクターブ:F3の低音からhiEまで地声で使う範囲が広く、キーをどこへ動かしても、どこかにしわ寄せが出ます。
- 高音帯の滞空時間が長い:サビは一瞬だけ高い音に触れるのではなく、高い帯域に滞在し続けます。1フレーズなら出せる人でも、2番以降で息と喉の体力が尽きやすい曲です。
- 最高音が最後に来る:転調後のラストサビにhiE。冒頭に最高音がある曲なら元気なうちに勝負できますが、「群青」は逆です。
- 終盤の合唱パートが「休憩」にならない:vocal-range.com の分析は、この合唱(斉唱)パートを一人で歌うなら息漏れの少ない裏声を勧めていますが、hiG#まで上がるため、裏声が息っぽく痩せる人にはここが第2の難所になります。
テンポはBPM135前後と分析されており、ボカロ出身のAyaseさんの曲らしく譜割りも細かいため、息を吸う場所を自分で設計する必要もあります。この譜割り・息継ぎの壁はYOASOBI全曲に共通するので、YOASOBIの歌い方で曲横断の攻略として別途まとめています。
原曲キーの合否は、フルコーラス後のラスサビで決まる
判定基準は1つに絞ってください。「1曲通して歌った後のラストサビで、hiE(E5)がまだ出るか」です。
カラオケの1曲目、元気な状態でhiEに一度届いても、この曲では合格と言えません。逆に、フルコーラスを歌った直後の録音で、①E5の音程に届いているか②喉で押し上げた声になっていないか、の2点が保てていれば原曲キーで戦えます。
そもそも自分の地声最高音がどこか分からない場合は、先に自分の音域の調べ方で現在地を測ってください。感覚での自己申告は、実際より高く見積もりがちです。
キーを下げる目安|-3〜-4が現実的、-5からは低音が崩れる
地声最高音をhiC(C5)前後に収めるなら、-3〜-4が現実的な目安です(-3でhiC#、-4でhiC)。高音に自信がない場合、まずこの範囲から試してみてください。
ただし「群青」は、上と下を同時に目安へ収めることができません。最低音F3(mid1F)は女性の地声下限の目安(mid1E〜mid1G)に近く、目安に残るのは-1(E3)までです。地声最高音が目安の上限hiCに入る-4では、最低音はC#3(mid1C#)まで沈みます。この最低音が出るのはAメロの1回だけなので、高い側を取るなら低い側を譲ることになります。-5にすると最低音がC3(mid1C)まで下がり、低音で声がかすれて言葉が消えやすくなります。高い方が楽になっても曲として痩せるので、-4あたりが実用上の境界です。
男性の場合、原曲キーのE5は平均的な地声上限を大きく超えるため、オク下(1オクターブ下)が基本です。オク下なら最高音はE4(mid2E)で多くの男性の地声圏内ですが、最低音はF2で、男性の地声下限の目安(lowG)を割ります。そこから3〜5キー上げる(最高音G4〜A4・最低音G#2〜A#2)と、上も下も男性の目安に収まります。
なお「キーを下げるのは逃げ」という思い込みで原曲キーの張り上げを続けるほうが、上達からは遠回りです。この点はカラオケでキーを下げるのはダサいのかで整理しています。
難所でのつまずき方は3タイプに分かれる
同じ「群青が歌えない」でも、症状によって対処は変わります。
- 張り上げタイプ:サビ〜ラスサビを地声のまま音量で押し上げ、喉が締まって声が固くなる。翌日声が枯れるのもこのタイプです。→ 張り上げで喉が締まる癖の直し方
- 裏返りタイプ:地声と裏声の行き来が多く、換声点(切り替わりの境目)で意図せず「スカッ」と抜ける。→ 声が裏返る・換声点をなめらかにする方法
- 息っぽいタイプ:地声のサビは届くのに、合唱パートの裏声がスカスカで届かない。裏声の「質」の問題です。→ 芯のある高音の出し方
どのタイプにも共通して効くのが息継ぎの設計です。細かい譜割りの中で吸う場所を決めていないと、ラスサビ前に燃料切れを起こします。息継ぎのコツを先に押さえておくと、練習の消耗が減ります。
原曲のikuraさんの高音は、力で押すというより、軽く当てているように聞こえます。声の軽さや裏声の質という土台から寄せたい人は、幾田りらの歌い方の特徴も参考にしてください。
音域が近い曲なら、同じhiEを地声で使う「炎」から
地声最高音がhiE前後で、「群青」と比べやすい3曲を挙げます。
- 炎(LiSA)の音域:F#3〜E5。最低音も最高音もほぼ同じで、地声のhiEがラストサビに置かれている点も共通です。
- アイノカタチ(MISIA)の音域:G#3〜E5。同じhiEが転調後のラストサビに1回だけ出るバラードで、終盤まで声を残せるかが問われます。
- トウキョウ・シャンディ・ランデヴ(MAISONdes)の音域:F#3〜E5。こちらは地声のhiEがサビを中心に何度も出てくる曲で、同じ高さを繰り返す持久力の練習になります。
「群青」の原曲キーが遠い場合、これらの曲も同じくらい遠いはずです。キー調整の考え方は共通なので、1曲で作った基準をそのまま横展開できます。
自分の「ラスサビのhiE」は録音でしか判定できない
「群青」を原曲キーで歌えるかどうかは、才能というより「終盤までhiEが残っているか」という体力配分の問題です。そしてこれは、歌っている本人の耳では判定できません。骨伝導で補正された自分の声は、実際より太く・届いているように聞こえるからです。
まずはフルコーラスを録音して、ラストサビだけ聴き返してみてください。張り上げているのか、裏返っているのか、息っぽく痩せているのか——タイプが分かれば、やるべき練習は上のリンク先まで絞れます。自分がどのタイプか判定しづらい場合は、声のクセを4タイプで診断する方法から始めるのが最短です。
録音→診断→タイプ別練習のループは、ボイとれ!のように音程が見えるアプリで回すと、キー調整の当たりも早く付きます。
「群青」より地声最高音の低い曲から始めたい場合は、カラオケで歌いやすい曲の音域一覧に、最高音つきで男女別にまとめています。



