「さよならエレジー」(菅田将暉)の音域|最高音・最低音とカラオケのキー目安
「さよならエレジー」(菅田将暉)の音域は最低音 mid1C#(C#3)、地声最高音 mid2G#(G#4)、裏声なし。幅は約1オクターブ+5半音とJ-POPとしては狭めですが、最高音がフレーズの出だしに助走なしで来ること、サビの熱唱でスタミナが尽きることが難所です。原曲キーで歌える条件、男女別のキー目安、Bメロ・Cメロの歌い分けまで解説します。
「さよならエレジー」(菅田将暉)の音域は、最低音が mid1C#(C#3)、地声最高音が mid2G#(G#4)。裏声は使われません。幅にすると約1オクターブ+5半音で、J-POPとしてはむしろ狭いほうです。
つまり、この曲が原曲キーで歌えるかどうかは「どこまで高い音が出るか」ではなく、サビで張り上げ続けても喉が保つかどうかで決まります。音域の数字だけ見て「余裕そう」と思って挑むと、2番あたりで声が枯れる——それがこの曲の正体です。
「さよならエレジー」の音域データ
| 項目 | 音 |
|---|---|
| 最低音 | mid1C#(C#3) |
| 地声最高音 | mid2G#(G#4) |
| 裏声最高音 | なし(裏声は使われない) |
| 音域の幅 | 約1オクターブ+5半音 |
| テンポ | BPM155 |
数字だけを見ると、地声最高音 mid2G#(G#4)は男性のカラオケで「高い曲」とされるラインの手前です。音域の幅も狭く、跳躍が激しいわけでもありません。それでも「歌ってみたら全然歌えなかった」となる人が多い——理由は次の章にあります。
この曲が難しい理由と、歌いやすい理由
難しい理由1:最高音が「フレーズの出だし」にいきなり来る
最高音 mid2G#(G#4)が出てくるのは、2番サビとラストサビに1回ずつ、計2回だけです。ロングトーンでも連打でもなく、一瞬で通り過ぎます。
問題はその一瞬が、フレーズの歌い出しに置かれていることです。低い音からじわじわ上がっていく助走があれば、身体は自然に準備できます。ところが出だしにいきなり最高音があると、助走ゼロの状態で当てにいくことになる。ここで多くの人が、勢いで喉に力を入れて「当てにいく」動きをしてしまいます。
難しい理由2:サビは「音の高さ」ではなく「熱唱」が喉を削る
この曲の本当の難所はサビです。ただし、音が高すぎるからではありません。
菅田将暉さんのサビは、叫ぶような張り上げで感情を押し出す歌い方です。これを丸ごと再現しようとすると、サビが来るたびに全力で喉を鳴らし続けることになり、2番の途中でスタミナが切れます。1番は歌えたのに2番でかすれる、という現象はほぼこれが原因です。
サビで大事なのは「ずっと強く出し続ける」ことではなく、力強く出したあと、すっと落とす落差です。全部を100%で押し切ろうとしないでください。
難しい理由3:Bメロで急にリズムが緩む
Bメロは、それまで走っていたリズムが急に緩んで音が上がる、変化球のパートです。ノリで押していると足元をすくわれるので、ここだけは1音ずつ丁寧に置きにいくつもりで歌います。
難しい理由4:Cメロは「同じ音程を、違う声で」
Cメロはサビと似た音程まで上がりますが、サビのように熱く張るのではなく、儚げに歌い分ける必要があります。音は同じでも、当て方を変える——ここが表現力の勝負どころです。
一方で、歌いやすい理由
- 音程の上下が少ない:跳躍が激しくないので、音を取ること自体は初心者でも難しくありません。
- 音域の幅が狭い:約1オクターブ+5半音なので、キーを動かしたときに「上を下げたら下が沈む」というジレンマが起きにくい。
つまりこの曲は、音程の正確さではなく、表現力とスタミナで差がつくタイプです。カラオケで「音は合っているのに、なんか違う」と感じるならそれが理由です。自分の音域がそもそもどのあたりにあるか分からない人は、まず音域の調べ方・測り方で自分の上下の限界を測っておくと、以降のキー判断がぶれません。
原曲キーで歌えるのはどんな人か
判断基準はひとつです。
地声で mid2G#(G#4)を、喉を締めずに、力まずに出せるか。
「出せる」ではなく「力まずに出せるか」がポイントです。この曲は最高音が2回しか出てこないので、一発だけなら気合いで届いてしまう人も多い。でも気合いで当てにいく発声は、サビを何度も通過するうちに必ず喉を削ります。2回だけの最高音より、その前後で消耗するサビ全体のほうが本体です。
原キーが無理をしているサイン
歌っている最中に、次のどれかが起きていたら、キーが合っていません。
- サビに入ると喉が締まる感じがある、首や顎に力が入る
- 1番は歌えたのに、2番のサビで声がかすれてくる
- 最高音でひっくり返る、裏返ってしまう(この曲は裏声を使わないので、裏返った時点でキーが高すぎます)
- 歌い終わったあと、喉に違和感が残る
- 声が大きくなるのではなく、ただ「怒鳴っている」音になる
ひとつでも当てはまるなら、根性で押すのではなくキーを動かしてください。張り上げるクセそのものを直したい人は高音で喉が締まる・張り上げてしまう人へ|脱力して高音を出す練習、喉に力が入る感覚が全般的にある人は歌うと喉に力が入る人へ|喉締めの原因と力を抜く直し方を読んでみてください。
キーを下げる・上げる目安
男性
| キー設定 | 地声最高音 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 原キー(±0) | mid2G#(G#4) | G#4 を力まず出せる人。低音の C#3 も余裕がある |
| -1 | mid2G(G4) | 原キーだとサビの後半で苦しくなる人 |
| -2 | mid2F#(F#4) | サビで喉が締まる/2番でかすれる人。最も無難な下げ幅 |
男性にとっては比較的歌いやすい曲です。低音の mid1C#(C#3)は男性なら余裕がある音なので、-1〜-2 下げても低音側が破綻しません。「高く感じるけど、下げたら低音が出なくなるのでは」という心配はこの曲では不要です。
女性
| キー設定 | 地声最高音 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 原キー(±0) | mid2G#(G#4) | 全体が低すぎて、Aメロの声が出ない人がほとんど |
| +4 | hiC(C5) | まず試す幅。Aメロが地声で鳴るようになる |
| +5〜+6 | hiC#〜hiD(C#5〜D5) | もっと上げないとAメロが響かない人。ただし最高音は相応に高くなる |
女性が原キーで歌うと、Aメロの mid1C#(C#3)付近が低すぎて、声が沈んで聞こえません。音は「出ている」のに、まったく響かない・聞こえないという状態になります。目安は +4〜+6。上げるほどサビの最高音も一緒に上がるので、まず +4 から試して、Aメロがちゃんと鳴るいちばん低い設定を選んでください。
下げすぎの弊害
「苦しいならとりあえず下げる」で -4、-5 まで落とすと、今度はAメロの低音が地声の底を割ります。声が息だけになって芯がなくなり、聞き取れない歌になる。この曲は音域の幅が狭いぶんキー調整が効きやすいですが、それでも下げ方には限度があります。
キー調整そのものに抵抗がある人はカラオケでキーを下げるのはダサい?下げすぎのサインと自分に合うキーの決め方も参考にしてください。下げるのは恥ずかしいことではありません。むしろ合っていないキーで怒鳴るほうが、聴いている側にはずっと苦しく聞こえます。低音側が沈む感覚がある人は低い声を出す方法|地声で響く低音を出すコツと注意点もあわせて。
難所の歌い方のコツ
助走なしの最高音は、「声を出す前」に決まっている
出だしにいきなり最高音が来るフレーズは、声を出してから調整する時間がありません。だから、息を吸った瞬間に勝負がついています。
- フレーズの直前のブレスで、肩を上げない。肩が上がると首まわりが固まり、声帯まわりも一緒に固まります。息はお腹の下のほうに落とすつもりで吸う。
- 息を吸ったあと、顎と舌の根元の力を一度抜く。「ハァ」と軽くため息をつくときの喉の状態が正解です。
- 音を「下から掴みにいく」のではなく、最初からその高さに置くイメージで出す。下から探りにいくと、その分だけ喉に力が入ります。
前もってどこで息を吸うかを決めておくと、この助走ゼロのフレーズがかなり安定します。歌の息継ぎのコツ|タイミングと歌詞の書き込み方のやり方で、歌詞にブレス位置を書き込んでおくのがおすすめです。
サビは「全部100%」をやめる。落差で聴かせる
サビで喉が持たない人は、フレーズの頭から終わりまで同じ強さで押し続けています。菅田将暉さんの熱唱に聞こえる部分も、実際は強く出して、すっと落とすという落差の連続です。
- フレーズの頭を強く、語尾は力を抜いて落とす。語尾まで全力で引っ張らない。
- 「一番聴かせたい1〜2フレーズ」だけを100%にして、残りは70〜80%に置く。全部が最大音量だと、聴き手にはどこも強く聞こえません。
- 声を大きくしようとして喉を締めない。声量は喉ではなく息の量と身体の支えで作ります。
Bメロは1音ずつ「置く」
リズムが緩んで音が上がるBメロは、走らせずに1音ずつ置きにいきます。テンポが緩む=1音あたりの時間が長い=ごまかしが効かないということです。急がず、音の頭をきちんと当てる。
Cメロは「息の量」で歌い分ける
Cメロはサビと似た高さまで上がりますが、儚げに聞こえさせたい。ここでやるのは音を変えることではなく、当て方を変えることです。
- 声帯をぶつけるように強く鳴らすのをやめ、息をやや多めに乗せる。
- ただし息だけになると声が消えるので、芯は残す。「囁くけれど、届く」バランスを探ります。
- サビでいちばん強く出した直後にCメロが来るので、そこで力が抜けない人は落差が作れません。サビを100%で押し切っていないことが、そのままCメロの表現力につながります。
最高音でひっくり返ってしまうなら
この曲は裏声を使いません。つまり、裏返った時点で「音が高すぎるか、地声のまま押しすぎている」というサインです。地声と裏声の境目(換声点)で声が割れる・裏返る感覚がある人は、地声から裏声で裏返るのはなぜ?換声点の段差をなくす練習【3ステップ】で境目をならす練習をしてから戻ってくると、同じキーでも通過しやすくなります。
自分がどこで力んでいるかは、自分の耳では分からない
ここまで読んで「サビで張り上げないようにしよう」「Cメロは息を混ぜよう」と思っても、実際にできているかどうかは、歌っている本人には判断できません。
理由は、自分の声が骨伝導で歪んで聞こえるからです。歌っている最中、あなたが頭の中で聴いている自分の声は、身体の骨を伝わってきた低音が混ざった「別の声」です。だから「ちゃんと出せている」と思っている高音が、外からは苦しそうに聞こえていることが普通に起こります。
やることはひとつ、録音して聴き返すことです。
- サビだけでいいので、スマホで録音する
- 少し時間を空けてから聴き返す(直後だと歌っていた感覚が残っていて、正しく聴けません)
- どこで、どう崩れているかをひとつだけ探す
聴き返すときのチェックは3つです。
- 張り上げ:サビで声が「大きい」のではなく「怒鳴っている」音になっていないか
- 裏返り:最高音で声がスカッと抜けていないか
- 息漏れ:Cメロで儚くしようとして、声が消えていないか
この3つのどれが自分に出ているかで、次にやるべき練習は全く変わります。どのクセに当てはまるかを確かめたい人は、あなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】から自分のタイプを見つけてください。ボイトレアプリ「ボイとれ!」なら、録音した声からどの症状が出ているかを判定して、その症状に合ったレッスンを出してくれます。
「さよならエレジー」は、音を取ること自体は難しくない曲です。だからこそ、あなたの声のクセがそのまま出ます。それが分かったら、この曲はもう一段よくなります。
