カラオケ上達約12分で読めます

「水平線」(back number)の音域|難所は高さではなく地声と裏声の切り替え・ラストサビの転調とキー目安

「水平線」(back number)の音域は最低音 mid1D(D3)、地声最高音 mid2G(G4)、裏声最高音 hiC(C5)。BPM73 のバラードで、難しさは音域の高さではなく「地声↔裏声の切り替え」にあります。原曲キーで歌える人の条件、男女別のキー目安、ラストサビ +2 転調と hiC の攻略、換声点・ロングトーン・跳躍の具体的な対処までまとめました。

ボイとれ!編集部ボイとれ!編集部
「水平線」(back number)の音域|難所は高さではなく地声と裏声の切り替え・ラストサビの転調とキー目安

「水平線」(back number)の音域は、最低音が mid1D(D3)、地声最高音が mid2G(G4)、そして裏声最高音が hiC(C5)です。テンポは BPM 約73とゆっくりで、速さで崩れる曲ではありません。

この曲を原曲キーで歌えるかどうかを決めるのは、実は「高い声が出るかどうか」ではありません。地声と裏声を、どれだけなめらかに行き来できるかです。

数字だけ見ると mid2G は一般的な男性の地声最高音とほぼ同じで、決して無理な高さではない。それなのに「歌ってみたら思ったより難しかった」となる人が多いのは、この曲の難しさが音域ではなく声区の切り替えにあるからです。

この記事では、水平線の音域データ、原曲キーで歌える人の条件、キーを動かす目安、そして難所ごとの具体的な対処を整理します。

水平線の音域データ

項目音
最低音mid1D(D3)
地声最高音mid2G(G4)
裏声最高音hiC(C5)
音域の幅2オクターブ弱(1オクターブ+10半音。地声のみなら約1オクターブ4度)
テンポBPM 約73(ゆったり)
転調ラストサビで +2半音

補足として、サビだけを見ると地声の最高音は通常のサビで mid2D#、転調後のラストサビで mid2F です。曲全体の地声最高音 mid2G はBメロや2番のAメロなどに出てくる音なので、この記事では曲全体の値として地声最高音は mid2G(G4)、裏声最高音は hiC(C5)で通します。

もうひとつ大事な数字の読み方があります。最低音の mid1D(D3)は2番のAメロにしか出てきません。つまり「最低音 D3」という表記に怯える必要はあまりなく、実際に何度も歌うことになる低音はサビに頻出する mid1F あたりです。低音が苦手な人にとっては、ここが地味に効いてきます。

自分の出せる音域そのものがまだ分からない人は、先に音域の調べ方・測り方で自分の上下の限界を測っておくと、この先の話が一気に自分ごとになります。

数字は普通なのに難しいのは、裏声を張って出す曲だから

数字は「普通」なのに、歌うと難しい

地声最高音 mid2G(G4)は、一般的な成人男性の地声の上限とほぼ重なります。ということは、原曲キーが「絶対に届かない高さ」というわけではない。vocal-range.com の分析でも、地声は一般的な男性の音域にほぼ収まるとされています。裏声さえ扱えれば十分狙える曲です。

では何が難しいのか。答えははっきりしていて、地声と裏声の切り替え(換声点=地声から裏声に切り替わる境目のこと)が最大の難所です。

裏声を「張り上げて」出す構造になっている

水平線は裏声を多用します。しかもその裏声は、ふわっと逃がすタイプではなく、張って前に出す形の裏声です。ここで息が足りないと声が裏返る(ひっくり返って音がすっぽ抜ける)、あるいは逆に力んで地声のまま突っ込んでしまう。

だから、裏声に入る直前でしっかり息を吸えているかどうかが結果を左右します。BPM 73 とゆっくりな曲なので、息を吸う時間はある。問題は「吸うつもりで歌っていない」ことです。

抑揚をつけるのが難しい

声区を行き来しながら、さらに強弱の抑揚もつける——これを同時にやろうとすると、たいてい抑揚が崩れるか、声区の切り替えが雑になるかのどちらかになります。この曲が「ただ音程を追うだけでは平坦に聞こえる」のに「感情を込めようとすると声がブレる」という板挟みを起こしやすいのは、そのためです。

ラストサビの +2 転調で一段上がる

ラストサビで +2半音 の転調が入ります。そして裏声最高音の hiC(C5)は、この転調後のラストサビにだけ出てきます。逆に言えば、ここの裏声が出せるかどうかが、この曲を「歌えた」と言えるかどうかの分かれ目になります。

そしてもう一つ厄介なのが、地声最高音の mid2G(G4)のほうは繰り返し来るという点です。Bメロ、2番のAメロ、ラストサビ前——曲全体で5回ほど mid2G に触ります。ここを毎回力んで張り上げていると、ラストサビに着く頃には喉が残っていません。

低音から高音への跳躍がある

低い音から急に高い音へ飛ぶ箇所があります。跳躍は、声の準備が間に合わないと下から引っぱり上げる形になり、そこで喉が締まります。

mid2Gを3回、4回と力まず出せるかが原曲キーの分かれ目

判断基準は1つに絞れます。

mid2G(G4)を、力まずに地声で出せるか。

「出せる」ではなく「力まずに出せる」がポイントです。この曲では mid2G が何度も来るので、1回だけ気合いで届いても意味がありません。3回、4回と繰り返して、なお余裕が残っているかどうか。

原曲キーが無理をしているサイン

以下に心当たりがあるなら、原曲キーはあなたにとって少し高すぎます。

  • サビで喉のあたりが締まる感じがする、首や顎に力が入る
  • 2番でかすれ始める、1番より明らかに声が痩せる
  • 裏声に切り替わる瞬間に声がひっくり返る(意図しない裏返り)
  • 地声のまま押し切ろうとして、叫んでいるような音になる
  • 歌い終わった後、喉に違和感が残る

とくに「2番でかすれる」は分かりやすい信号です。1番は勢いで持っても、Bメロや2番Aメロで mid2G を繰り返し踏むうちに削られていく。ここでバテるなら、原曲キーで通し切るのは無理があります。

喉が締まる・張り上げてしまう自覚がある人は、高音で喉が締まる・張り上げてしまう人へや歌うと喉に力が入る人へ|喉締めの原因と力を抜く直し方も合わせて読んでみてください。

裏返りが気になる人は地声から裏声で裏返るのはなぜ?換声点の段差をなくす練習が近道です。

なお、喉に痛みが出る場合は練習を続けず、無理せず耳鼻咽喉科など専門医に相談してください。

キーを下げすぎるとサビの低音mid1Fが沈む

男性

キー設定地声最高音向いている人
原曲キー(±0)mid2G(G4)mid2G が力まず出せる人。多くの男性はここで歌えます
-2mid2F(F4)高音・裏声が苦手な人。mid2G が毎回きつい人

男性は原曲キーのまま歌える人が多い曲です。mid2G は一般男性の地声上限付近なので、「ぎりぎり届く」人が多数派。ただし前述の通り、この曲は mid2G を繰り返し踏むので、「1回届く」と「毎回余裕がある」は別物です。判断は1番だけでなく通しで。

高音と裏声が苦手なら -2(最高音が mid2F)が第一候補です。

女性

キー設定目安向いている人
+2〜+5+2で最低音mid1E・地声最高音hiA、+5で最低音mid1G・地声最高音hiC低音がつらいと感じる人。低音の出やすさで幅の中から選ぶ

女性の場合、水平線は低音域が多く、原曲キーだと下が苦しいのが主な問題です。上ではなく下で詰まる。

+2〜+5 のどこでも、地声の最低音と最高音は女性の平均的な範囲(最低音 mid1E〜mid1G・最高音 hiA〜hiC)に収まります(裏声の最高音は +2 で hiD、+5 で hiF)。この曲は「女性は+○が正解」と一つに決められる曲ではありません。

目安として +2〜+5 の幅の中から、自分の低音がどこまで出るかを基準に決めてください。上げすぎれば当然サビと裏声が苦しくなるので、「低音が沈まないギリギリの上げ幅」が最適解になります。

低音側で苦戦している自覚があるなら、低い声を出す方法|地声で響く低音を出すコツと注意点が効きます。

下げすぎ・上げすぎの弊害

キーを下げれば高音は楽になります。でも、下げすぎると今度は低音が沈みます。

この曲の低音側は、サビに頻出する mid1F あたりが実質的な常用最低音です。ここからさらに -3、-4 と落とすと、サビの土台になる音が「聞こえない」「かすれて出ない」領域に入り、歌全体がぼやけます。高音が楽になった代わりに、曲の芯が抜けてしまう。

「高音が出ないから下げる」ではなく、「上も下も、どちらも無理なく出せる位置」を探すのが正しいキー調整です。この考え方はカラオケでキーを下げるのはダサい?下げすぎのサインと自分に合うキーの決め方で詳しく整理しています。

最初に直す難所は、裏声に入る前の息の残し方

1. 裏声に入る「前」に息を吸う

裏声が裏返る人の多くは、裏声の出し方が悪いのではなく、裏声に入る時点で息が残っていないだけです。張って出す裏声は、想像以上に息を使います。

対処は身体の動きで言えばシンプルです。

  • 裏声パートの直前のフレーズを、意識的に少し早く切る。最後の一拍を伸ばしきらず、そこで息を入れる
  • 吸うときは肩を上げない。お腹まわりが横に広がる感覚で入れる
  • BPM 73 なので、吸う時間は物理的にあります。「間に合わない」のではなく「吸う設計をしていない」だけです

どこで息を入れるかは、歌詞に印をつけて決めておくのが確実です。歌の息継ぎのコツ|タイミングと歌詞の書き込み方にブレスの設計方法をまとめています。

2. mid2G は「押す」のではなく「抜く」

地声最高音 mid2G(G4)は繰り返し来ます。だから、1回ごとに全力で押していると必ずバテます。

  • 顎を突き出さない。顎を軽く引いたまま上に行く
  • 音を上げるときに音量まで一緒に上げようとしない。高さと大きさは別物です
  • 喉仏が上に競り上がる感覚があったら、それは張り上げのサイン。あくびをする直前のように喉の奥を広く保つ

喉の奥を開いたまま高音に入る感覚がつかめない人は、喉を開く方法3つを試してみてください。

3. 換声点の「段差」を消す

地声から裏声に切り替わるとき、カクンと段差ができると、聴いている側にはっきり分かります。この曲は裏声を多用するので、その段差が何度も露出します。

  • いきなり曲で練習しない。「アー」で低い地声から高い裏声まで、切れ目なくつなげる練習を先にやる
  • 切り替わりの瞬間だけ息の量を増やすと、裏返りではなく「移行」に聞こえやすくなります
  • 地声と裏声の中間の出し方(ミックスボイス)を身につけると、この段差は薄くなります

段差を埋める具体的な手順は地声から裏声で裏返るのはなぜ?換声点の段差をなくす練習【3ステップ】、裏声そのものの出し方はファルセットの出し方とかすれる原因、中間の声についてはミックスボイスの出し方で扱っています。

4. Aメロ・Bメロで飛ばさない(ラストサビ用に体力を残す)

ラストサビで +2半音 の転調が来て、そこで負荷が一段上がります。裏声最高音の hiC(C5)が出てくるのも、この転調後です。

つまり、この曲の「本番」は最後にあります。

  • Aメロ・Bメロは抑揚をつけすぎない。ここで感情を全部出してしまうと、ラストで出す分がなくなります
  • 特に Bメロや2番Aメロの mid2G は、「届かせる」だけで十分。張り上げて盛り上げようとしない
  • ラストサビ前の mid2G を歌い終わった瞬間が、最後の息継ぎポイントだと思って準備する

「後半に取っておく」という発想は、精神論ではなく物理です。声帯も筋肉なので、序盤で酷使すれば後半のパフォーマンスは落ちます。

5. 低音→高音の跳躍は「準備してから飛ぶ」

低い音から急に高い音へ飛ぶ箇所では、下の音のまま引っぱり上げようとすると喉が締まります。

  • 跳躍の直前の低音を、深く重く鳴らそうとしすぎない。喉を下げ込むと、そこから上に行けなくなります
  • 飛ぶ先の音を先にイメージしてから声を出す。音の高さを「後から探す」と、探している間に喉に力が入ります
  • 跳躍の手前で息を入れられるなら入れる

6. ロングトーンは伸ばす前に決まっている

BPM 73 のバラードなので、音を伸ばす場面が多くあります。伸ばしている途中で声が揺れたり細くなったりするのは、たいてい吸った息の量と、吐き出す配分の問題です。伸ばし始めてから直すのはほぼ不可能で、勝負は「伸ばす前」についています。

伸びない・揺れる原因のタイプ別の直し方はロングトーンとは?やり方と、伸びない・揺れる原因4タイプの直し方にまとめました。

次に歌うなら、音域が近く裏声も使う「奏」「さくら(独唱)」「きらり」

当サイトに音域の記事がある曲のうち、地声最高音が水平線(mid2G)から2半音以内で、同じように裏声を使う3曲を挙げます。

「できているつもり」から抜けるために

ここまで読んで、あなたはたぶんこう思っているはずです。「で、自分はどこができていないんだろう?」

その答えは、残念ながら歌っている最中の自分には分かりません。

自分の声は、空気を伝って耳に届く音と、骨を伝って内側から響く音が混ざって聞こえています(骨伝導)。この骨を伝う成分が低音を持ち上げるので、自分の耳の中では実際より太く、豊かに聞こえてしまう。だから、張り上げているのに「力強く出せている」と感じたり、裏声が息漏れしているのに「柔らかく出せている」と思い込んだりします。他人には全然違って聞こえているのに、です。

だから、順番はこうなります。

  1. 録音する(スマホでいい)
  2. 聴き返す。気持ち悪くて当然です。それが他人に聞こえているあなたの声です
  3. 自分のクセを特定する——張り上げているのか、裏返っているのか、息漏れしているのか、喉が締まっているのか
  4. そのクセに合った練習だけをやる

水平線で言えば、mid2G で張り上げているのか、換声点で裏返っているのか、裏声で息漏れしているのか——どれなのかによって、やるべき練習はまったく違います。全部やる必要はないし、全部やると時間が足りません。

「録音した自分の声が気持ち悪い」という感覚そのものについては自分の歌声を録音すると気持ち悪いのはなぜ?で、クセの見分け方はあなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】で整理しています。まずは自分がどのタイプかを見極めるところから始めてください。

自分の耳だけで判断するのが難しければ、ボイトレアプリ「ボイとれ!」のように、自分の録音をお手本と聴き比べてクセのタイプを選べるツールを使うのも手です。

大事なのはツールそのものではなく、「録って、聴いて、自分のクセを1つに絞って、そこだけ直す」というループを回すこと。それができれば、水平線の mid2G も hiC も、あなたの声の届く範囲に入ってきます。

水平線の裏声がまだ安定しないうちは、男性が歌いやすい曲の選び方やカラオケで歌いやすい曲22選の一覧から、最高音を見て先に歌う曲を選ぶのも一つの方法です。

#曲別音域#back number#水平線#カラオケ#キー設定#裏声#換声点#男性曲

関連する記事

カラオケの飲み物おすすめは?喉にいい・悪いと言われる10種を「根拠の強さ」で仕分け
カラオケ上達

カラオケの飲み物おすすめは?喉にいい・悪いと言われる10種を「根拠の強さ」で仕分け

カラオケの飲み物は常温の水が基本です。ただし飲み物は食道を通るため、声帯には直接触れません。水・温かいお茶・炭酸・お酒・コーヒー・牛乳・ココアなど10種を、医師が理由を説明しているものと広く言われているだけのものに仕分け、飲むタイミングと量、持ち込みの注意、水を飲んでも声が枯れる人の見直し点まで解説します。

ボイとれ!編集部ボイとれ!編集部
カラオケの平均点は何点?DAMとJOYSOUNDの公式データで見る目安と、平均超えでも上手く聞こえない理由
カラオケ上達

カラオケの平均点は何点?DAMとJOYSOUNDの公式データで見る目安と、平均超えでも上手く聞こえない理由

カラオケの平均点は機種で変わります。第一興商とJOYSOUNDが公表している集計値をもとに、DAMとJOYSOUNDそれぞれの平均の目安、画面の「全国平均」が曲ごとの数字であること、平均点が高い曲・低い曲がある理由を整理。平均を超えていても上手く聞こえないことがある理由と、点数に出ない声のクセ4タイプの聴き分け方まで解説します。

ボイとれ!編集部ボイとれ!編集部
カラオケのキー設定は計算で決まる|下げる数の出し方と「下げしろ」の限界
カラオケ上達

カラオケのキー設定は計算で決まる|下げる数の出し方と「下げしろ」の限界

カラオケのキー設定は感覚ではなく計算で決まります。下げる数=曲の地声最高音−自分の地声最高音。ただし下げると最低音も同じだけ下がるため下げ幅には上限があり、上下2つの制約で挟んだ範囲が答えです。挟めない曲の対処とオク下の条件まで解説します。

ボイとれ!編集部ボイとれ!編集部