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夜明けと蛍(ヨルシカ)の音域|最低音・最高音とsuisの息づかいを歌うコツ

ボイとれ!編集部ボイとれ!編集部
夜明けと蛍(ヨルシカ)の音域|最低音・最高音とsuisの息づかいを歌うコツ

「夜明けと蛍」は、地声最低音がmid1A(A2)あたり、地声最高音がmid2G#(G#4)、そして曲の切なさを支える裏声がhiB(B4)まで届く曲です。ハイトーンで押し切る曲ではなく、低いところから高いところまで幅広く行き来し、しかもsuisさん特有のウィスパー(息を多めに乗せた歌声)で成立している、という点に難しさが集まっています。

まず対象曲をはっきりさせておきます。この記事で扱うのは、n-buna(ナブナ)さんが初音ミク・IAで発表したボカロ版をルーツに持ちながら、ヨルシカとしてボーカルのsuisさんが歌ったバージョンです。ウォルピスカーターさんやそらるさんなど歌い手さんのカバーも多く、原曲キーやオク下でキーがまちまちなので、数値はヨルシカ版(suis歌唱)を基準にしています。

音域の数値は、確認できたものだけを載せています。「夜明けと蛍」については複数の音域分析サイトを突き合わせ、値が一致した部分を採用し、割れているところは正直にそう書きます。

「夜明けと蛍」の音域データ|最低音mid1A・最高音mid2G#

複数の音域分析サイトを突き合わせると、n-bunaセルフカバー基準では次の値で一致します。

区分音名(日本式・国際式)主な登場箇所
地声最低音mid1A(A2)Aメロの低いフレーズ
地声最高音(通常サビ)mid2G(G4)サビの上限
地声最高音(ラストサビ)mid2G#(G#4)転調後のラストサビ
裏声最高音hiB(B4)高音の抜き・語尾の余韻

この曲はラストサビで半音上に転調します。通常のサビの最高音はmid2G(G4)ですが、転調後のラストサビでmid2G#(G#4)まで一段上がる、という構造です。

なお最低音については、分析元によってmid1A(A2)とmid1G(G2)で見立てが割れます。suisさんのウィスパーは輪郭がやわらかく、どこまでを地声と取るかで一段前後するためです。ご自身の感覚とズレても不思議はありません。いずれにせよ、この曲は「低音〜中音を土台に、要所で高い声を軽く置く」タイプで、ハイトーンの絶対値そのものは飛び抜けて高いわけではありません。自分の最低音・最高音が曖昧な方は、先に音域の調べ方で自分の上下端を把握しておくと、この表と照らし合わせやすくなります。

なぜ「夜明けと蛍」は歌いにくいのか

最高音の数字だけ見ると届きそうに感じるのに、いざ歌うと難しい——その理由を分解します。

  • 音域が上下に広い:地声最低音(mid1A前後)から裏声(hiB)まで、1オクターブを大きく超える幅を1曲の中で往復します。高い声だけ・低い声だけの練習では足りません。
  • ウィスパーで薄く保つ:suisさんは声帯を強く閉じず、息を多めに乗せて歌います。力で押すと途端に別物になり、逆に息だけになると音程がぼやけます。この「薄いのに芯がある」バランスがいちばんの難所です。
  • 地声と裏声の行き来:高い部分をどこで地声のまま伸ばし、どこで裏声に抜くか。suisさんは高音を裏声で軽く置くことが多く、切り替えの滑らかさが仕上がりを左右します。
  • 転調で最高音が上がる:ラストサビで半音上がるため、それまで安定していても最後だけ苦しくなりがちです。曲の後半に余力を残す設計が要ります。

「高音の数字は届くのに歌うとしんどい」は、音の高さより声の当て方と息のコントロールが原因なことが多い曲です。

原曲キーで歌える条件は「mid2G#を軽く出せるか」

判定はここ1点に絞れます。ラストサビの地声最高音mid2G#(G#4)を、力まずに——できれば裏声で軽く抜いて——出せるかどうかです。ここを喉を締めて押し上げてしまう人は、原曲キーだと最後で崩れます。

  • 男性の目安:mid2G#はミックスボイスや軽い裏声の入り口。地声で当てにいくと張り上げになりやすいので、抜き方が決まれば原曲キーで戦えます。
  • 女性の目安:全体の最高音自体は女性の地声・裏声の常用域に収まりやすい一方、この曲は低音(mid1A前後)が土台になります。低いところが埋もれないかが分かれ目で、高音より低音側で原曲キーの可否が決まることが多いです。

高音でつい喉が締まってしまう方は、張り上げで喉が締まるのを直すコツを先に押さえてから原曲キーを試すと、mid2G#の当たり方が変わります。

キーを下げる目安

「夜明けと蛍」は音域が上下に広いぶん、キー下げの余地はそれほど大きくありません。最高音を下げると、今度は最低音(mid1A前後)がさらに沈んで聞こえなくなる、という板挟みが起きるからです。

  • -1〜-2:ラストサビのmid2G#が一歩届かない人向け。低音側もまだ潰れにくく、いちばん現実的な下げ幅です。
  • -3:高音が明確に苦しい人向け。ただしここまで下げると低音がかなり沈むので、mid1A前後がボソつかないか要確認です。
  • 下げすぎの弊害:この曲は低音の土台があって空気感が出ます。下げすぎると最低音が「聞こえない」ゾーンに入り、静かなのに芯がある持ち味が消えてしまいます。

下げ幅の考え方全般はカラオケでキーを下げるとダサい?の考え方にまとめています。この曲は「下げれば下げるほど原曲の空気感から遠ざかる」タイプなので、まず-1から試すのがおすすめです。

難所は3つ

難所1:ラストサビのmid2G#(転調後の最高音)

通常サビのmid2Gで安定していても、ラストの転調で半音上がった瞬間に崩れる人が多い場所です。ここは地声で押し切るより、裏声やミックスで軽く抜くほうがsuisさんの質感に近づきます。高い声の出し方のコツで当て方を整えると、最後の一段が楽になります。

難所2:高音の裏声抜き(hiBの余韻)

高いフレーズや語尾を、力を抜いて裏声でふわっと置くのがこの曲の肝です。裏声がかすれる・急に細くなる人は、きれいな裏声の出し方で息の当て方を整えてから戻ると、余韻の残り方が変わります。

難所3:地声↔裏声の切り替え(換声点)

高い部分で地声から裏声へ移るとき、段差や裏返りが出やすい曲です。ここがガクッと切り替わると一気に素人っぽく聞こえます。換声点を滑らかにして裏返りを防ぐで、地声と裏声のつなぎ目をなだらかにしておきましょう。

なお、suisさんのウィスパーは長く安定した息が前提です。息が続かず失速する方は、歌の息継ぎのコツも合わせて確認しておくと、フレーズの終わりまで薄い声を保ちやすくなります。

音域が近い曲で段階を踏む

いきなり原曲キーで通そうとせず、近い感触の曲で足場を作るのがおすすめです。

まずはこの1〜2曲でラストサビの上がり幅や裏声抜きに慣れてから、「夜明けと蛍」の転調に戻ると負担が段違いです。

「原曲キーでいけるか」は録音しないと分からない

ここまで数値と条件を並べてきましたが、最後にいちばん大事な話をします。自分がmid2G#を本当に出せているか、裏声の余韻がsuisさんのように薄く保てているかは、歌っている最中の自分には分かりません。

歌っているときに自分に聞こえている声は、骨伝導が混ざって実際より太く・安定して聞こえます。「出せている」と感じても、録って聴き返すと最高音が届いていなかったり、ウィスパーが息だけになって音程が抜けていたりします。特にこの曲は「薄いのに芯がある」バランスが命なので、体感と実際のズレがそのまま仕上がりに出ます。

だからこそ、録音して聴き返すのがいちばんの近道です。まずは自分の声のクセを診断する(4タイプ)で、自分の声がどのタイプで、高音・裏声・息のどこにクセが出やすいかを掴んでおきましょう。

そして日々の練習では、アプリ「ボイとれ!」で自分の声を録って、音程やmid2G#の当たり方を客観的に確認しながら進めるのがおすすめです。骨伝導のごまかしを外して、自分の声を耳で確かめる——「夜明けと蛍」のあの薄くて切ない質感に近づく、確実な一歩になります。

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