星街すいせいの歌い方の特徴|ミックスボイスとファルセットの使い分け
星街すいせいの「Stellar Stellar」「ビビデバ」を題材に、ミックスボイスとファルセットの使い分け、エッジボイスや鼻腔共鳴などの歌唱技術を解説します。

「Stellar Stellar」サビのhiBの連打を支えるミックスボイス
星街すいせいの代表曲「Stellar Stellar」は、サビだけでhiB(高いシ)付近の音が約30回も繰り返し出現する、かなりの高難度曲です。これだけ高い音を何度も歌う場合、裏声(ファルセット、息多めで軽くなる発声)に逃げてしまうと迫力が保てません。星街すいせいはサビの最高音域(hiC#〜hiE付近)でも裏声に頼らず、力強いミックスボイス(地声の芯を保ちながら高音を出す発声)を選んでいると分析されています。実用的な音域はmid1F〜hiE程度まで、ミックスボイスでカバーしていると見られます。
ポイントは、喉を締めて音を押し出すのではなく、横隔膜(お腹の奥にある呼吸筋)主体で脱力しながら声を出していることです。喉に力が入った状態で高音を連打すると、数フレーズで声が枯れてしまいます。エッジボイス(かすれた低いガラガラ声)やビブラート(音を細かく揺らす技法)を要所に混ぜることで、力強さの中にも表情の変化をつけているのも特徴です。高音発声の基礎になっている声区の使い分けについては、ヘッドボイス・チェストボイス・ミドルボイスの違いと出し方も参考になります。
「Stellar Stellar」でhiBの連打を聴いてみる
サビで高音を連打しても声が痩せていかない様子に注目して聴いてみてください。
あえて低音を裏声にして高音を地声寄りで突き放す落差設計
星街すいせいの歌い方でもう一つ目立つのが、低音部分をあえて裏声で歌い、そこから高い音域を地声(またはミックスボイス)で勢いよく押し出すという構成です。低いところで音量を落として繊細に聞かせ、高いところで一気に声を張る。この「静と動」の落差が、聴き手にメリハリと感情の起伏を印象づけます。単に高い声が出るだけでなく、低音域でわざと裏声を選ぶという判断ができる点が、表現力の幅を広げていると言えそうです。地声と裏声の切り替えをなめらかにする練習は、地声から裏声で裏返る・換声点でひっくり返る人へ|つなぎ目をなめらかにする練習で扱っています。
「ビビデバ」サビ最高音でのファルセット制御と装飾技法
もう一つの代表曲「ビビデバ」では、サビの終盤で曲中最高音を迎える箇所があり、そこはあえてファルセット(裏声)で発声し、地声化させないよう繊細にコントロールしていると分析されています。「Stellar Stellar」とは逆に、この曲では最高音を裏声で処理する判断がされているわけです。曲によって最高音の扱い方(地声寄りにするか裏声にするか)を使い分けている点は、真似する上でも意識したいポイントです。
このほか「ビビデバ」には、英語詞の語頭にエッジボイスを乗せて力強さを出す箇所や、あるフレーズで息を抜いて脱力感を出す「すいせい節」とも言える歌い回し、サビの一部で鼻腔共鳴(鼻に響かせる発声)を足して息を吐きながら余韻を残す歌い方など、細かな装飾技法が随所に使われています。音の入り口でわずかにピッチを下げてから本来の音に戻す「シャクリ」という装飾技法が使われている箇所もあると見られます。エッジボイスの基本についてはエッジボイスの出し方|コツと練習方法・歌での使い方、ファルセットのコントロールについてはファルセットの出し方|裏声・ミックスボイスとの違いとコツで詳しく解説しています。
真似するときに喉へ負担をかけないために
星街すいせいのような高音連打×ミックスボイスの歌い方は、喉に力を入れて声量だけで再現しようとすると、あっという間に喉を痛める原因になります。特に「Stellar Stellar」のようにhiB付近を何度も繰り返す曲は、腹式呼吸で息の量をコントロールしながら、喉はできるだけ脱力させる意識が欠かせません。少しでも喉に違和感や痛みを感じたら無理をせず、その日は高音の練習を控えるようにしてください。
とはいえ、自分の声のどこに課題があるのか(喉が締まりやすいのか、裏声と地声の切り替えでつまずくのか、それとも息が漏れて芯が出ないのか)は、自分の耳だけではなかなか正確に把握できません。そんなときは、ボイとれ!で自分の声を録音して症状別に診断してみるのがおすすめです。あなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】から、自分に合った練習の入り口を見つけてみてください。



