声量・声質

ラスピーボイスとは?出し方4ステップと喉を傷めないコツ|ハスキー・がなりとの違い

ラスピーボイスとは、声の芯を保ったまま仮声帯の薄い振動でざらつきを混ぜる発声テクニックです。ハスキー・がなり・エッジボイスとの違いを一覧表で整理し、エッジボイスから始める4ステップの出し方と喉を傷めない注意点を解説します。

ボイとれ!編集部ボイとれ!編集部
ラスピーボイスとは?出し方4ステップと喉を傷めないコツ|ハスキー・がなりとの違い

ラスピーボイス(raspy voice)とは、声の芯を保ったまま、ザラッとしたかすれ・ざらつきを意図的に混ぜる発声テクニックのことです。生まれつきの声質ではなく、しくみを知って段階的に練習すれば、狙った場面でだけ出せるようになります。ただし、自分の声にどれくらいざらつきが乗っているかは、歌っている本人の耳では正確に判断できません。練習は録音して聴き返しながら、ざらつきの「量」を確かめて進めるのが習得の近道です。

ラスピーボイスとは?ハスキー・がなり・エッジボイスとの違い

ラスピーボイスとは、声帯で作った芯のある声に、仮声帯(かせいたい。声帯のすぐ上にあるもうひと組のヒダ)の薄い振動を重ねて、ざらついた質感を出す声のことです。「raspy」は英語で「ざらついた・しゃがれた」という意味です。

「かすれた声」と呼ばれるテクニックは複数あり、混同されやすいので、まず違いを整理します。

音の主役かすれ・ざらつきの正体質感主な使いどころ
ラスピーボイス声帯(芯は残る)仮声帯の薄い振動を重ねる芯のある声がザラッと割れるサビなど感情を乗せるフレーズ全体
ハスキーボイス声帯(閉じをゆるめる)声帯のすき間から漏れる息の音息っぽく柔らかいかすれバラード・語りかける表現
がなり声声帯仮声帯を強く鳴らした歪み荒く濁ったアクセントフレーズの頭・語尾の一瞬
エッジボイス声帯のみ(最小限の振動)声帯がプツプツ鳴る音の粒低いきしみ音フレーズ頭の飾り・練習の土台

見分けるポイントは2つです。1つ目は「かすれの正体が息か、歪みか」。ハスキーボイスは声帯の閉じをゆるめて息を混ぜるかすれで、仮声帯は使いません。ラスピーボイスとがなり声は、どちらも仮声帯の振動=歪みでざらつきを作ります。2つ目は「歪みの濃さと長さ」。がなり声が濃い歪みを一瞬のアクセントとして打つのに対し、ラスピーボイスは薄い歪みをフレーズに乗せ続けます。そしてエッジボイスは仮声帯ではなく声帯そのものを最小限に振動させた低いきしみ音で、後述するとおりラスピーボイス練習の入り口になります。

どういう仕組みでざらつきが出るのか

ラスピーボイスは、喉の奥(咽頭)を少し狭くした状態で声を出すことで生まれます。この状態で声帯を鳴らすと、すぐ上にある仮声帯が声帯の振動につられて軽く共振し、芯のある声にザラッとした倍音が薄く重なります。声帯そのものは普段どおり鳴らしたまま守り、ざらつきは「別の場所」で足す——ここががなり声やシャウトと共通する、喉を傷めないための大原則です。

つまりラスピーボイスの技術的な本体は、「歪みを出せること」ではなく「歪みの濃度を薄くコントロールして持続させること」です。濃度が濃すぎればがなり声になり、声の芯まで崩れれば単なる喉声になります。

プロの実例としては、ちゃんみなさんが代表的です。サビで声をあえてザラッと割れさせて感情の爆発を表現しており、ちゃんみなの歌い方の解説記事で、ウィスパーボイスとの落差の作り方も含めて詳しく分析しています。

ラスピーボイスの出し方|エッジボイスから始める4ステップ

いきなり歌の中で声を割ろうとせず、「小さい音量で薄い歪みだけを作る」ところから段階的に進めます。1セッションは合計5分まで、週2〜3回を上限の目安にしてください。

ステップ1|エッジボイスで喉の脱力を確認する(30秒×3回) 「あ゛ー」と一番低い声からさらに力を抜き、声帯がプツプツと粒で鳴る状態を作ります。これがエッジボイスです。喉に力が入っているとプツプツが出ないので、脱力チェックを兼ねられます。出ない場合はエッジボイスの出し方3ステップで土台を先に作ってください。

ステップ2|咳払いから軽い唸りで仮声帯の場所を知る(2〜3秒×3回) 「んんっ」と軽い咳払いをすると、喉の奥で何かが軽く触れ合う感覚があります。これが仮声帯です。その感覚のまま「ぅぅぅ〜」と低く2〜3秒だけ唸ります。音量は会話の半分以下。痛みが出る強さでは絶対にやらないでください。

ステップ3|芯のある声にざらつきを2割だけ混ぜる(5回) 普段の声で「アー」と伸ばし、途中からステップ2の唸りの感覚をうっすら足します。イメージは「声8:ざらつき2」。声の芯が消えてガラガラになったら混ぜすぎです。いったん普通の「アー」に戻してやり直します。ここを録音して、芯が残っているか・ざらつきが乗っているかを毎回確かめるのが最重要ポイントです。

ステップ4|フレーズの一部にだけ乗せる(1曲1〜2箇所) 曲のサビの決め所など、感情のピークになる1〜2箇所だけに使います。フレーズ全体を最初から最後まで割り続ける必要はありません。むしろ普通の声との対比があるほうが、ざらつきは効果的に聴こえます。

やってはいけないNG例:喉を締めて「ガーッ」と大声で叫んでかすれさせる(声帯を直接擦る最悪のパターン)/毎日長時間練習する/ウォームアップなしでいきなり声を割る。この3つはどれも、テクニックではなくただの喉の酷使です。

「芯を残したまま割る」感覚をプロの実演で聴く

普通の声とラスピーボイスを行き来する瞬間に、声の芯(音程感)が崩れていないことに注目して聴いてみてください。

喉を傷めないための注意点

ラスピーボイスは仮声帯を使う発声の中では負担が軽い部類ですが、「無害」ではありません。次のルールだけは必ず守ってください。

  • 痛み・違和感が出たら、その場で中止する。 「もう少しでコツが掴めそう」でもやめます。正しく出せていれば痛みは出ません。痛み=出し方が間違っているサインです。
  • 声が枯れたらその日は終了。 枯れた状態は声帯が腫れている状態です。上から負荷を重ねないでください。
  • 練習は1セッション5分まで、週2〜3回。 上達は練習量ではなく、回復を挟んだ継続で決まります。
  • かすれや痛みが数日以上続く場合は、無理をせず耳鼻咽喉科を受診してください。

狙っていないのに声がかすれるなら、それは症状です

ここまで解説したのは「狙った場面で意図的にかすれさせる」テクニックの話です。逆に、普通に歌っているだけなのに息が混じってかすれる・声に芯がなく通らないという場合、それはテクニックではなく、声帯の閉じが弱いという発声のクセ(症状)です。ラスピーボイスの練習を重ねる前に、まず息っぽくて弱い声に芯を出す方法で土台の閉鎖を作るほうが先です。土台に芯があるからこそ、ざらつきを「足す」表現が成立します。

自分のかすれが「意図的に出せている表現」なのか「勝手に出てしまう症状」なのかは、録音して聴き返さないと判別できません。ボイとれ!には、声を録音するとその場でクセを判定し、息漏れタイプの人には「息漏れに芯を出す」「弱い声に力を足す」といったレッスンが並ぶ診断機能があります。まずはあなたの声のクセはどのタイプ?4つの症状と直し方【セルフ診断】で、自分の声の現在地を確かめてみてください。

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