音域測定のやり方|自分の音域を10分で測る4ステップと、mid2C・hiAの読み方
音域測定は、自分が出せる「いちばん低い音」と「いちばん高い音」を音名でメモするだけで終わります。専用の機材は不要。中央のドから半音ずつ下げて最低音、上げて地声最高音、切り替えて裏声最高音——この4ステップを、判定基準つきで解説します。鍵盤アプリ・音域測定サイト・ボイトレアプリの3つの測り方の長所短所比較と、mid2C=C4・hiA=A4というカラオケ表記の対応表つき。

音域測定は、自分が出せる「いちばん低い音」と「いちばん高い音」を音名でメモするだけで終わります。専用の機材は要りません。スマホの鍵盤アプリか、音域測定サイト、あるいはボイトレアプリのどれか1つがあれば、10分あれば測れます。
ただし、順番と判定の基準を間違えると数値がまるごとブレます。喉が温まっていない状態で測ると本来より狭く出ますし、「かすれてでも出た音」を最高音に数えると、実際には歌で使えない数値が出来上がります。
この記事では、測る前に知っておくべき3つの前提、測り方3つの比較、そして半音ずつ動かす具体的な手順を、判定基準つきで最後まで書きます。あわせて「mid2A」「hiC」といったカラオケ表記の読み方も表で整理します。
音域測定でわかるのは「声の幅」。音程とは別物です
最初に混同しやすい2語を切り分けておきます。
音域は「どこからどこまでの高さの声が出るか」という幅のこと。音程は「狙った高さに声が当たっているか」という正確さのことです。音域が広くても音程が外れる人はいますし、音域が狭くても音程はぴったり合う人もいます。まったく別の物差しです。
この記事で測るのは前者、つまり幅のほうです。「自分の声、合ってる気がしない」という悩みのほうが近い方は、自分の音程がわかるアプリで音程の測り方を確認してください。測る道具も判定方法も別になります。
音域を測ると、具体的にはこの3つが手に入ります。
- 最低音 — 出せるいちばん低い音
- 地声最高音 — 地声のまま出せるいちばん高い音
- 裏声最高音 — 裏声(ファルセット)で出せるいちばん高い音
カラオケで「この曲、原キーで歌えるか」を判断するときに使うのは、主に地声最高音です。ただし測るときは3つとも取っておくと、後から曲を選ぶときに困りません。
測る前に知っておくべき3つのこと
いきなり測り始める前に、ここだけは押さえてください。この3つを飛ばすと、出てきた数値が信用できないものになります。
1. 喉が温まっていないと、本来より狭く出ます
起き抜けや、何時間も声を出していない状態の喉は、本来の可動域まで動きません。この状態で測ると、特に高いほうが数半音ぶん低く出ます。
測る前に、軽く声を出して喉を起こしてください。リップロール(唇を閉じてブルブル震わせながら声を出す)を30秒ほど、そのあと「ドレミファソラファミレド」を無理のない高さで2〜3往復。合計3〜5分で十分です。ここで力を使い切る必要はありません。
カラオケボックスで測るなら、1曲目に音域が狭めの曲を歌ってから測ると、そのままウォームアップになります。どの曲が向くかはカラオケの発声練習になる曲にまとめてあります。
2. 地声と裏声は必ず分けて測ります
地声と裏声をごちゃ混ぜにして「いちばん高く出た音」を記録してしまうと、その数値はカラオケでほぼ使えません。裏声でしか届かない音を「自分の最高音」だと思って原キーで歌うと、サビで確実に破綻するからです。
地声と裏声の見分け方はシンプルです。声を上げていくと、どこかで「あ、切り替わった」と感じる瞬間があります。急に息っぽく軽くなったり、「ヒュッ」と裏返ったりする、あの地点です。ここより下が地声、上が裏声だと考えてください。この切り替わる地点を換声点と呼びます。
なお、裏返らずに上まで伸ばせる人もいますが、その場合も「地声のまま張っている感覚があるところまで」を地声の最高音として区切れば大丈夫です。
3. 限界まで無理に出さない。喉を痛めます
これがいちばん大事です。音域測定は記録会ではありません。「絞り出せば1回だけ出る音」は、あなたの音域ではありません。
判定の基準をはっきり決めておきます。
- カウントする音:まっすぐな声で2秒キープでき、声質が急にかすれたり潰れたりしていない音
- カウントしない音:かすれる/声にならず息だけ/喉が締まって苦しい/出したあと喉に違和感が残る音
低いほうも同じです。声が「ガリガリ」と鳴るだけで音程として成立していない音は、最低音に含めません。
痛みや違和感が出たらそこで中止してください。翌日に持ち越すくらいなら、測定は明日でいいです。喉を痛めてまで測る価値のある数値はありません。
測り方3つを比較する
音域の測り方は大きく3つです。それぞれ長所と短所があるので、正直に並べます。
| 方法 | 必要なもの | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| ① 鍵盤アプリ・ピアノと合わせる | 無料の鍵盤アプリ、またはピアノ | 精度が高い。マイクを使わないので環境に左右されない | 鍵盤の位置と音名の読み替えが必要。半音ずつ自分で押していく手間がある |
| ② 音域測定サイト・ブラウザツール | ブラウザとマイク | インストール不要ですぐ試せる。結果が自動で音名表示される | マイク性能と周囲の雑音に精度が左右される。低音は特に拾いにくい |
| ③ ボイトレアプリで測る | スマホアプリ | 声の高さがリアルタイムで見える。記録が残り、後から比較できる | アプリのインストールが必要 |
① 鍵盤アプリ・ピアノと声を合わせる
いちばん確実な方法です。鍵盤の音を鳴らし、その音を自分の声で真似して、出せるかどうかを判定していきます。
長所は精度です。マイクを介さないので、部屋がうるさくても、スマホのマイクが弱くても関係ありません。出た・出ないの判定を自分の耳と体感で行うため、「かすれた音を機械が拾ってしまう」といった誤検出も起きません。
短所は手間と読み替えです。鍵盤のどの鍵がどの音名なのかを把握しておく必要があり、さらに国際表記(C4など)とカラオケ表記(mid2Cなど)の対応も知っておかないと、測った結果を曲選びに使えません。この対応は後の章の表で整理します。
無料の鍵盤アプリなら「Piano」「ピアノ」などで検索して出てくるシンプルなもので十分です。オクターブ表示(C3・C4など)が出るものを選んでください。
② 音域測定サイト・ブラウザツール
「音域測定 サイト」と検索して出てくるブラウザ上のツールです。マイクの使用を許可して声を出すと、その高さを自動で判定してくれます。
長所は手軽さです。アプリを入れる必要がなく、思い立った瞬間に試せます。結果が音名で自動表示されるので、読み替えの手間もありません。
短所はマイク精度への依存です。ノートPCの内蔵マイクや、雑音のある部屋では、判定がふらつきます。特に低音は基音のエネルギーが弱いため拾われにくく、実際より高い音を「最低音」と表示してしまうことがあります。エアコンの音を消す、静かな部屋で行う、可能ならイヤホンマイクを使う——この3点で精度はかなり改善します。
もう1つ注意点があります。ブラウザツールは「今出した音」を表示するだけなので、かすれた声も潰れた声も同じように音名として表示します。数値が出ても、前章の判定基準(2秒キープできたか)は自分で適用してください。
③ ボイトレアプリで測る
練習アプリの中には、声の高さをリアルタイムでグラフ表示するものがあります。
長所は2つあります。1つは、声を出しながら「今どのくらいの高さか」が動いて見えること。目標の音に近づいているのか離れているのかが、声を止めずに分かります。もう1つは記録が残ることです。音域は練習で変わりますし、体調でも変わります。1回きりの測定より、複数回のログのほうが自分の実力を正しく表します。
短所はインストールが必要な点と、アプリによっては音域測定が主目的ではないため、測定専用の画面がない場合があることです。
たとえばボイとれ!は練習中に自分の声の高さがリアルタイムで表示されるので、レッスンをこなしながら「今日はどこまで出たか」を見ることができます。加えて録音した声を「張り上げ・裏返り・息っぽい・つながった声」の4つの症状に診断してくれるため、音域が伸び悩む原因のほうにも手がかりが出ます。アプリ全般の比較はボイトレアプリおすすめにまとめています。
音域測定の具体的な手順【4ステップ・約10分】
ここからが本編です。①の鍵盤アプリを使う前提で書きますが、②③でも順番の考え方は同じです。
ステップ0:ウォームアップ(3〜5分)
リップロール30秒 → 「ドレミファソラファミレド」を楽な高さで2〜3往復。喉が起きた感覚が出たら次へ進みます。
ステップ1:中央のド(C4)から下げて最低音を探す(3分)
鍵盤アプリで**C4(カラオケ表記でmid2C)**を鳴らします。これが「中央のド」です。多くの鍵盤アプリでは中央付近に表示されています。
この音を「あー」で真似します。出せたら、半音ずつ下げていきます。C4 → B3 → A#3 → A3……という順です。1音ごとに、鳴らす→真似する→2秒キープできたか確認、を繰り返します。
出せなくなったら1つ戻ります。 2秒キープできた最後の音が、あなたの最低音です。メモしてください。
低音は「もう1つ下も出るかも」と粘りたくなりますが、ガリガリと鳴るだけで音程が定まらない音は数えません。
ステップ2:中央のドから上げて地声最高音を探す(3分)
またC4に戻ります。今度は半音ずつ上げていきます。C4 → C#4 → D4 → D#4……。
同じく「あー」で真似し、2秒キープを基準に判定します。上げていくと、どこかで「これ以上は地声では張れない」というポイントか、「ヒュッ」と裏返るポイントが来ます。その直前で、まだ声質が保たれていた音が地声最高音です。
ここが一番、無理をしやすい場所です。喉を締めて絞り出した音は数えません。声が硬くなってきた、首に力が入った、と感じたらそこで止めてください。喉を締めて高音を出す状態については高音が出ない原因で詳しく書いています。
ステップ3:裏声に切り替えて裏声最高音を探す(3分)
地声最高音の少し下から、意識的に裏声に切り替えます。裏声が出しにくい人は、いったん高めの「ホー」や「フー」のような軽い声から入ると切り替わりやすいです。
裏声に入ったら、また半音ずつ上げていきます。判定基準は同じで、2秒キープできること。息が抜けるだけで音になっていない状態はカウントしません。
出なくなった1つ手前が、裏声最高音です。
ステップ4:3つの数値を書き出す
最後に、こう書き出します。
- 最低音:(例)G2 / lowG
- 地声最高音:(例)G4 / mid2G
- 裏声最高音:(例)C5 / hiC
国際表記とカラオケ表記を両方書いておくと、後でどちらの表記のサイトを見ても照合できます。対応は次の章の表を見てください。
測定は1回で終わらせないでください。 体調・時間帯・ウォームアップの度合いで、半音〜1音は普通にブレます。別の日に2〜3回測って、いちばん安定して出た数値を自分の音域として扱うのが現実的です。
音名の読み方|mid1A・mid2A・hiA と A3・A4 の対応表
測った音を曲選びに使うには、2種類の表記を行き来できる必要があります。
- 国際表記:
C4A4のように、アルファベット+オクターブ番号で書く方式。楽器・音楽理論・海外サイトで使われます - カラオケ表記(日本式):
mid2ChiAのように、音域帯をlow/mid1/mid2/hiで表す方式。日本のカラオケ音域サイトで主に使われます
対応は次のとおりです。
| カラオケ表記 | 国際表記 | 読み方の目安 |
|---|---|---|
| lowG | G2 | 男性の平均的な最低音あたり |
| mid1C | C3 | 中央のドの1オクターブ下 |
| mid1G | G3 | 女性の平均的な最低音あたり |
| mid2A | A3 | ここから mid2 が始まる |
| mid2C | C4 | 中央のド(基準の音) |
| mid2G | G4 | 男性の平均的な地声最高音あたり |
| hiA | A4 | ここから hi が始まる。440Hzの基準音 |
| hiC | C5 | 女性の平均的な地声最高音あたり |
| hiE | E5 | かなり高い。女性曲の高音域 |
押さえるべきルールは2つだけです。
- オクターブの切り替わりは「ド」ではなく「ラ」 —
mid1G → mid2A、mid2G → hiAのように、Gの次のAで帯が変わります。国際表記が「Bの次のCで番号が変わる」のと基準が違うので、ここが最大の混乱ポイントです - mid2C = C4 が中央のド — この1点さえ覚えておけば、そこから半音ずつ数えて他の音を割り出せます
なお、国際表記の番号の付け方には流儀の違いがあります。中央のドを C4 とするのが国際標準(ラ=A4=440Hz)ですが、機材メーカーによっては中央のドを C3 と表記するものもあります。音域サイトを見るときは「hiA = A4」で揃っているかを確認してください。多くのカラオケ音域サイトはA4基準です。
平均音域の目安|自分の数値が広いのか狭いのか
測った数値を見て「これって普通なの?」と気になったら、次の目安と照らしてください。
複数のボイストレーニング系の情報源で共通して挙げられている、地声の平均的な音域はこのあたりです。
| 国際表記 | カラオケ表記 | |
|---|---|---|
| 男性の平均 | G2 〜 G4 | lowG 〜 mid2G |
| 女性の平均 | G3 〜 C5 | mid1G 〜 hiC |
つまりどちらもおおよそ2オクターブです。地声最高音でいうと、男性はmid2G(G4)前後、女性はhiC(C5)前後が平均的なライン、ということになります。
ただし前置きが2つあります。
1つめ。低いほうの数値は情報源による差が大きいです。 特に女性の最低音については、mid1G(G3)とするものもあれば、それより低いmid1F(F3)付近とするものもあります。低音は測定条件(マイク・部屋・その日の喉)で大きくブレる領域なので、目安はあくまで目安です。
2つめ。平均より狭くても、歌えないという意味ではまったくありません。 音域は身長のように個人差が大きい要素で、しかも訓練で変わります。J-POPの多くは1オクターブ半程度に収まっており、キーを変えれば平均以下の音域でも歌える曲は大量にあります。「平均より狭い=下手」ではないことは、はっきり書いておきます。
もし今の数値が平均より明らかに狭くて、しかも歌いたい曲に届かない場合は、狭さの原因が音域そのものではなく発声のクセにあるケースが多いです。たとえば喉を締めて張り上げているせいで高音が頭打ちになっている、といったパターンです。高い声の出し方と低い声しか出ないに、それぞれの原因と対処をまとめています。
測った後にやること
3つの数値が出たら、次はそれを使う番です。やることは3つあります。
1. 歌える曲を絞り込む。 地声最高音が分かったら、その音以下の最高音を持つ曲は、原キーで歌える可能性が高いということです。測った3つの数字から「キーを何個下げればいいか」を計算する具体的な手順は、自分の音域の調べ方|3つの数字でカラオケのキー設定まで決まるにまとめてあります。手っ取り早く候補が欲しい方はカラオケで歌いやすい曲、男女別なら男性が歌いやすい曲・女性が歌いやすい曲に音域つきで並べてあります。
2. 届かない曲はキーを下げる。 好きな曲の最高音が自分の地声最高音を超えていたら、その差の半音ぶんキーを下げれば届きます。キーを下げることに抵抗がある方はカラオケでキーを下げるのはダサい?を読んでみてください。結論だけ言うと、ダサくありません。
3. 音域そのものを広げる。 測って「もう少し上が欲しい」と思ったら、次は広げるフェーズです。具体的な練習メニューは音域の調べ方と広げる方法にまとめてあります。ただし広げる練習は、闇雲に高い音を出す練習ではありません。喉を締めたまま高音を出し続けても、音域は広がらないどころか喉を痛めます。
そしてもう1つ。音域が伸びない原因は、たいてい発声のクセのほうにあります。 張り上げているのか、裏返っているのか、息が漏れているのか。自分がどのタイプかは声のクセ4タイプ診断でセルフチェックできます。ここが分かると、次にやるべき練習が一気に絞れます。
自分の声を客観的に把握するという意味では、自分の歌声を録音して聴き返す習慣もセットにしておくのがおすすめです。音域という数値と、実際の声質。この2つを揃えて初めて、自分の現在地が分かります。
よくある質問
Q. 音域測定は何分くらいかかりますか? ウォームアップ込みで10分程度です。ウォームアップ3〜5分、最低音・地声最高音・裏声最高音の測定に各3分ほど。急ぐと精度が落ちるので、時間を確保できるときにやってください。
Q. カラオケの採点機能で音域は測れますか? 機種によっては歌唱後の分析結果に音域が表示されます。ただしこれは「その曲で実際に出した音の範囲」であり、あなたが出せる限界ではありません。曲に含まれない高さは当然表示されないので、音域測定としては使えないと考えてください。
Q. 毎回違う数値が出ます。どれが本当ですか? 半音〜1音程度のブレは正常です。体調・時間帯・ウォームアップの度合いで変わります。複数回測って、安定して出せた数値を採用してください。1回だけ出た最高音は、実戦では使えません。
Q. 裏声が出ないのですが、どうすればいいですか? 裏声最高音は空欄のままで構いません。まずは地声の2つの数値だけで進めて問題ありません。裏声は練習で出るようになりますし、地声と裏声のつなぎ目の問題は高音が出ない原因のほうに整理してあります。
Q. 音域が狭いと歌が下手ということですか? 違います。音域の広さと歌の上手さは別の指標です。狭い音域でも表現力で聴かせる歌手は大勢いますし、キーを調整すれば歌える曲は無数にあります。音域は「今どの曲がそのまま歌えるか」を判断するための道具であって、実力の点数ではありません。
まとめ
音域測定でやることは、突き詰めるとこれだけです。
- 喉を温めてから測る(3〜5分のウォームアップ)
- 中央のドから半音ずつ下げて最低音、上げて地声最高音、切り替えて裏声最高音
- 判定基準は「2秒まっすぐキープできたか」。かすれた音・絞り出した音は数えない
- 国際表記とカラオケ表記を両方メモしておく(mid2C = C4 が基準)
道具は鍵盤アプリでも、音域測定サイトでも、ボイトレアプリでも構いません。大事なのは、順番と判定基準をぶらさないことです。
そして測ったあとは、その数値を曲選びとキー設定に変換するか、音域を広げる練習に進むか。どちらにしても、自分の声の現在地が数字で分かっているというのは、独学で歌を練習するうえで大きな武器になります。
練習しながら声の高さをリアルタイムで確認したい方、そして音域が伸びない原因のほうを知りたい方は、ボイとれ!を使ってみてください。録音した声を症状別に診断して、あなたの弱点に合ったレッスンを順に出してくれます。



